労働者死傷病報告の提出
2025年1日から「電子申請」義務化
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【5分で納得コラム】
今回のテーマは<労働者死傷病報告の提出2025年1日から「電子申請」義務化>についてです。労働者死傷病報告の提出 2025年1日から「電子申請」義務化
1. 「労働者死傷病報告」とは
労働者が労働災害等により死亡し、又は休業したときは、事業者は所轄労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません。なお、労働者死傷病報告は、休業が4日以上の場合は “遅滞なく“、休業が3日未満の場合は ”四半期ごと“(1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間における当該事実について、それぞれの期間における最後の月の翌月末日まで)に提出する必要があります(労働安全衛生規則97条)。
この労働者死傷病報告は、これまでは「紙」又は「電子申請」により所轄労働基準監督署へ提出することになっていました。
2. 2025年1月から「電子申請」義務化
労働者死傷病報告の提出を受けて、そのデータを用いて労働災害統計の作成や災害分析を踏まえた政策の企画立案が行われていますが、「紙」の場合は事業者が労働基準監督署に出向く等の手間があり、また、記載や帳票の読み取りに誤りが一定程度ある状況にありました。
そこで、事業者の負担軽減や報告内容の適正化、統計処理の効率化等をより一層推進するため、2025年1月1日から、労働者死傷病報告の提出は、原則として「電子申請」によることが義務化されました。なお、「電子申請」を行う環境がないなど「電子申請」によることが困難な場合は、当面は「紙」による報告も可能とする経過措置が設けられています。
また、「電子申請」に当たっては、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス(https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/)」が用意され、必要項目を入力することによりスムーズに申請することができるようになっています。
3. その他の「電子申請」義務化手続き
労働者死傷病報告の他に、2025年1月1日により、以下の手続きについても原則として「電子申請」によることが義務化されています。
- ・ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医の選任報告
- ・ 定期健康診断結果報告
- ・ 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
- ・ 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
- ・ 有機溶剤等健康診断結果報告書
- ・ じん肺健康管理実施状況報告
- ・ 事業の附属寄宿舎内での災害報告
「電子申請」が初めての場合は、以下のWEBサイトなどを参照して対応が必要です。
■電子申請について
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
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食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。