過労死等防止大綱の改定
フリーランス等対策の強化など
-
【5分で納得コラム】
今回のテーマは「過労死等防止大綱の改定 フリーランス等対策の強化など」です。過労死等防止大綱の改定 フリーランス等対策の強化など
1. 過労死等防止対策大綱とは
過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることができる社会を目指して、2014年6月に「過労死等防止対策推進法」が制定され、同年11月から施行されています。また、同法に基づき、過労死等の防止対策を効果的に推進するため、2015年7月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、過労死等防止大綱)が定められています。
過労死等防止大綱は、社会経済情勢の変化、過労死等をめぐる諸情勢の変化、大綱に基づく対策の推進状況等を踏まえて、おおむね3年を目途に見直しが行われていますが、前回(2021年7月30日)の改定から3年が経過する中、先月8月2日に過労死等防止大綱が閣議決定により改定されました。
2. 変更のポイント
過労死等防止大綱の変更のポイントは以下のとおりです。
*『「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更について』(厚生労働省)より
また、数値目標も以下のとおり見直されています。
なお、①については、特に、重点業種等※のうち週労働時間60時間以上の雇用者の割合が高いものについて重点的に取組を推進すること、②については、特に、勤務間インターバル制度の導入率が低い中小企業への導入に向けた取組を推進すること、⑥については、前の過労死等防止大綱では数値目標が掲げられていた「仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者割合」についても継続的に注視することとされています。
※重点業種等とは、自動車運転従事者、教職員、 IT 産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界、芸術・芸能分野をさします。
3. 2024年11月からフリーランス保護法施行
変更ポイントのひとつにフリーランスに関する事項がありますが、フリーランスと企業などの発注事業者の間の取引の適正化とフリーランスの就業環境の整備を図ることを目的に、以下の内容を定めた特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下、フリーランス保護法)が新たに制定され、2024年11月から施行されます。
多様な働き方が広がる中でフリーランスを活用している企業も増えていると思われますが、新しい法律の内容を踏まえた対応が求められますので、秋口までに準備が必要です。
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
-
食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
-
≪岩楯めぐみ氏の最近のコラム≫
※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。