次世代法の期限延長
行動計画に数値目標が必須に
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【5分で納得コラム】
今回のテーマは「次世代法の期限延長」についてです。次世代法の期限延長 行動計画に数値目標が必須に
1. 次世代法の期限延長
次世代育成支援対策推進法(次世代法)は、少子化の進行などの環境変化を踏まえて、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的に、2005年度から2014年度までの10年間に集中的かつ計画的に対策を実施するための時限法として制定されました。
その後、法律の有効期限は2024年度までの10年間延長され、さらに2034年度までの10年間延長されることが決まっています。
2. 行動計画
次世代法では、事業主に次世代育成支援のための行動計画の策定を義務づけており、行動計画には次の①から③の事項を定める必要があります。なお、行動計画の策定は、現時点では、常時雇用する労働者数が101人以上の事業主が義務となっていますが、常時雇用する労働者数が100人以下の事業主は努力義務となっています。
① 計画期間
② 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
③ 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
また、策定した行動計画は、厚生労働大臣(労働局)へ届出を行い、一般に公表するとともに、従業員に周知させなければなりません。
なお、厚生労働省では、公表するためのWEBサイトとして「両立支援のひろば 」を設けていますが、自社のWEBサイトなどで公表してももちろん差し支えありません。
3. 数値目標が必須に
次世代法の期限延長に伴い、2025年4月1日からは行動計画の策定についても変更が加えられています。
具体的には、行動計画を策定又は変更する場合には、直近の事業年度における以下の①②(予定)の事項を把握して課題を分析した上で、その結果を勘案して①②にかかわる「数値目標」を定めることが必須になります。
① 男性労働者の育児休業等取得率 又は 男性労働者の育児休業及び育児目的休暇の取得率の状況
② フルタイム労働者1人あたりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等の労働時間(高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者にあっては健康管理時間)の状況
※①②は今後省令で定められる予定です。
PDCAの考え方を取り入れて、男女ともに仕事と子育ての両立を可能とする職場環境を整備していきましょう。
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
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食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。