最低賃金の見直し-引上げ額の目安は26円~22円-

2017年8月17日

例年10月に改定されている最低賃金。今年も7月下旬に「中央最低賃金審議会」から各都道府県の引上げ額の目安が次の通り示されました。

ランク 引上げ額 都道府県
26円 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
25円 茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
24円 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡
22円 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

上記引上げ額の目安を参考に、各都道府県の「地方最低賃金審議会」で審議がなされ、各都道府県の労働局長がそれぞれの最低賃金を決定します。
多くの場合は「中央最低賃金審議会」から示された目安の引上げ額と同額で決定がなされますが、目安とは異なる引上げ額となる場合※もありますので、最終的な最低賃金は各都道府県労働局のWEBサイト等で確認する必要があります。
※平成28年度の場合、「中央最低賃金審議会」から示された目安の引上げ額と異なる額の引上げを行った都道府県は6県で、いずれも目安より1円高い額の引上げが行われています。

東京は26円upの958円に

最も高い最低賃金の東京では、26円upの958円となる見込みです。
最近では採用が難しい状況にあることから、最低賃金よりも高い時給設定の労働条件としていることも多いと思われますが、念のため、最低賃金を下回ることがないか時給の確認が必要です。
なお、月給者の場合で、残業代に相当する額を定額で毎月の給与に含めて支給する方法を採用している場合は、その残業代に相当する額を除いた月額で時給換算し、最低賃金以上となっているか確認する必要があるため注意が必要です。
例えば、週2日休み(年間休日105日)で1日の所定労働時間が8時間の場合は、残業代に相当する額を除いた最低月額は下記の金額となります。

  最低月額 = 958×173.333‥・ = 166,053.3… ≒ 166,054円



最低賃金の確認方法

月給者の場合の最低賃金の確認方法は次の通りです。

時給 ( 月額の賃金 ÷ 1ヵ月平均所定労働時間 ) ≧ 最低賃金 

なお、次の賃金は除外して月額の賃金を計算します。

①精皆勤手当、通勤手当、家族手当
②時間外労働、休日労働及び深夜労働の手当
③臨時に支払われる賃金(例:結婚手当)
④1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:賞与)

割増賃金の算定基礎となる賃金には含まれる「精皆勤手当」は、最低賃金の対象となる賃金には含まれない等、割増賃金と最低賃金では時給を算出する際の取り扱いが異なりますので注意が必要です。





執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー、退職金制度構築支援等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「企業再編・組織再編実践入門」(共著/日本実業出版社)、「まるわかり労務コンプライアンス」(共著/労務行政)他。


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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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