「1.平成28年4月からの法改正」「2.介護休暇の改正」

2016年5月25日
1.平成28 年4 月からの法改正

平成28年4月からの法改正が色々とありましたので、改めてご紹介いたします。

(1)健康保険 標準報酬月額の等級上限の改定

従来、健康保険の標準報酬月額は1 等級( 58 千円 ) から47 等級 ( 1,210 千円 )となっていましたが、平成28 年4 月1 日より健康保険の上限が引き上げられ、50 等級 ( 1,390 千円 ) となります。
この引き上げに伴い、標準報酬月額の基礎となった給与の額が1,235,000 円以上の被保険者については引き上げられた標準報酬月額に再度あてはめられ、標準報酬月額を改定することになります。

(2)健康保険 標準賞与額の上限額の改定

標準賞与額についても年度 ( 4 月から翌年3 月まで ) 累計額540 万円であった上限が平成28 年4 月1 日より573 万円に引き上げられました。
( 1 )、( 2 )の改定は上限の引き上げですので、対象となる方はさほど多くはないと思いますが、保険料額の負担額は大きくなりますので、ご注意下さい。

(3)健康保険 傷病手当金・出産手当金の計算方法の改定

平成28 年3 月31 日まで傷病手当金・出産手当金の1 日あたりの支給金額は「休んだ日の標準報酬月額」をもとに算出されていましたが、平成28 年4 月1 日より「支給開始日以前の継続した12 ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」をもとに算出されます。

(4)平成28 年度雇用保険料率の引き下げ

平成28 年4 月1 日以降の雇用保険料率が以下のように引き下げられました。

また平成28 年3 月31 日付官報に雇用保険法を改正する記載がありましたので、ここで一部をご紹介致します。

① 65歳以後に新たに雇用される者を雇用保険の対象とする。→平成29 年1 月1日施行
② 雇用保険料の徴収免除 ( 満64 歳以上 ) を廃止し、原則通り徴収する。→平成32 年4 月1 日施行

つまりこの改正によって、従来は65 歳以後に新たに雇用された者は一般被保険者の資格を取得できませんでしたが、平成29 年よりこの取り扱いが変更となる予定です。また保険年度の初日 ( 4 月1 日 ) に満64 歳以上の者は雇用保険料を免除されていますが、平成32 年度から免除がなくなる予定です。
この2 つ以外にもいくつかの改正点がありますので、後日改めてご案内致します。

(5)子ども・子育て拠出金 ( 旧:児童手当拠出金 ) の引き上げ

従来、1.5/1000 であった子ども・子育て拠出金 ( 旧:児童手当拠出金 ) が平成28年4 月1 日より2.0/1000 に引き上げられました。
この引き上げは企業主導型保育事業や企業主導型ベビーシッター利用者支援事業等の事業を推進するために要する費用に充てるため、段階的に拠出率の上げていくものとしています。
具体的には子ども・子育て拠出金を平成28 年度は2.0/1000、平成29 年度は2.3/1000 と段階的に引き上げが実施される予定です。
この子ども・子育て拠出金は他の社会保険料と比較すると料率が低いこともあり、あまり注目されていませんが、企業としては負担額が増えることになりますので、ご注意下さい。

2.介護休暇の改正

介護・育児と仕事の両立のあり方を議論していた厚生労働省の審議会にて、報告書案がほぼ纏まり、次のように平成29 年以降の施行を目指しています。

< 現状 >
介護休暇 … 1 日単位で年5 日
介護休業 … 家族が要介護ごとに1 回、通算93 日 ( 同介護状態は不可 )

< 法改正後 > ※ 赤字下線部は改定箇所
介護休暇 … 半日単位で年5 日
介護休業 … 93 日の間で3 回まで分割が可能 (同介護状態も可)

なお介護休暇は時間単位でとれるようにすることも検討されていたようですが、中小企業は対応できないなどの意見があり、見送られたようです。
平成7 年に導入された介護休業制度の本格的な見直しは初めてですので、注目です。





執筆陣紹介

SATO社会保険労務士法人
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