事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

2016年3月28日

厚生労働省は、2月28日付けで「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表しました。このガイドラインは、企業が、がん、脳卒中などの疾病を抱える労働者に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、企業における取組などをまとめたものとなっています。


本ガイドラインのポイントは以下のとおりです。

<治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備>
  • 労働者や管理職に対する研修などによる意識啓発
  • 労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口を明確化
  • 時間単位の休暇制度、時差出勤制度などを検討・導入
  • 主治医に対して業務内容などを提供するための様式や、主治医から就業上の措置などに関する意見を求めるための様式を整備

  • <治療と職業生活の両立支援の進め方>
  • 労働者が事業者に支援を求める申出(主治医による配慮事項などに関する意見書を提出)
  • 事業者が必要な措置や配慮について産業医などから意見を聴取
  • 事業者が就業上の措置などを決定・実施(「両立支援プラン」の作成が望ましい)

  • <がんに関する留意事項>
  • 治療の長期化や予期せぬ副作用による影響に応じた対応の必要性
  • がんの診断を受けた労働者のメンタルヘルス面へ配慮


  • 本ガイドラインでは、特にがんに関する留意事項を別にまとめています。(下記、概要)

    ■治療に関する留意事項

  • 治療や経過観察の長期化、予期せぬ副作用等の出現等が考えられ、経過によって就業上の措置や治療への配慮の内容を変更する必要があるため、労働者は次の点に留意し、事業者に対して必要な情報を提供することが望ましい。
    1. 手術を受ける場合は、手術後の経過や合併症などに個人差があること。
    2. 抗がん剤治療は、1~2週間程度の周期で行うため、副作用によって周期的に体調変化を認めることがあり、特に倦怠感や免疫力低下が問題となること。
    3. 放射線治療は、基本的に毎日(月~金、数週間)照射を受けることが多いこと。また、治療中は通院による疲労に加え、治療による倦怠感等が出現することがあるが、症状の程度には個人差が大きいこと。

    ■メンタルヘルス面への配慮

  • がんの診断が主要因となってメンタルヘルス不調に陥る場合もあるため、治療の継続や就業に影響があると考えられる場合には、適切な配慮を行うことが望ましい。
  • がんと診断された者の中には、精神的な動揺や不安から早まって退職を選択する場合があることにも留意が必要。
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