障がい者雇用に関する法改正について
2015年10月7日
すでに公表されている事項ですが、障がい者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律が、2016年(平成28年)4月1日(一部は2018年(平成30年)4月1日)から施行されます。
今回の改正では、雇用の分野における障がい者に対する差別の禁止及び障がい者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置(合理的配慮の提供義務)を定めるとともに、障がい者の雇用に関する状況に鑑み、精神障がい者を法定雇用率の算定基礎に加える等の措置が設けられました。
以下、今回の改正ポイントです。
【2016年4月1日から施行。(4)のみ2018年4月1日から施行】
(1)障がい者に対する差別の禁止
雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止。職業能力等を適正に評価した結果といった合理的な理由による異なる取扱いが禁止されるものではありません。
(2)合理的配慮の提供義務
事業主に、障がい者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることを義務付けます。例えば、肢体不自由者などには「机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと」などが指針で示されています。ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼす場合を除きます。
(3)苦情処理・紛争解決援助
事業主は、障がい者である労働者から苦情の申出を受けたときは、その自主的な解決を図るよう努めます。解決しない場合は、都道府県労働局長が必要な助言、指導又は勧告をすることができ、新たに創設する調停制度の対象とします。
(4)法定雇用率の算定基礎の見直しについて
法定雇用率の算定基礎の対象に、新たに精神障がい者を追加します。法定雇用率は原則5年ごとに見直しし、施行後5年間は猶予期間とし、精神障がい者の追加にかかる法定雇用率の引き上げ分は、計算式どおりに引き上げないことも可能です。(従来どおりということ)
なお、『障がい者雇用納付金制度』の適用対象範囲が2015年(平成27年)4月1日から変更となっていますので、以下の事項にもご注意ください。
障がい者雇用納付金とは、法定雇用数(一般事業主は常用労働者数の2.0%)に不足のある事業主に対するペナルティの仕組みであり、2010年(平成22年)7月から、常用労働者200人を超え300人以下の事業主に適用されていました。これは、法定雇用数に不足している場合、不足数1人あたり月額5万円の納付金を納める制度ですが、制度適用5年間(平成22年7月~平成27年6月)は納付金の減額特例(月額4万円)で運用されていました。
2015年(平成27年)4月から、常用労働者100人を超え200人以下の事業主にも本制度が適用されています。こちらも上記同様に制度適用5年間(平成27年4月~平成32年3月まで)については、同様の減額特例(月額4万円)が適用されることになっています。