健康保険法および厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取り扱いについて

2015年10月7日

 今回は、いわゆる社会保険上の賞与に係る報酬の取り扱いの変更点について確認します。
 本来「賞与」として取り扱われるべきものを分割して毎月支払うことで、基本給や手当などの毎月支払われる「通常の報酬」として取り扱う手段を用いて、保険料を削減する事例が生じていることから、今回の変更通知がされることとなりました。

 変更のポイントは、1か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合、その他これに準ずる場合は、「通常の報酬」ではなく、「賞与にかかる報酬」として取り扱われるべく「報酬」の範囲が見直された点です。この通達の変更は平成27年10月1日より適用されています。

【今回追加になった項目(一部文言を変更)】

以下の1(1)の「通常の報酬」には、一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合、その他これに準ずる場合は含まれないこと。


 要するに、いわゆる「賞与」が分割して4回以上支給される場合でも、回数のみではなく、算定期間等の支給基準も判断の要素となり、「賞与」として取り扱う必要がある場合「被保険者賞与支払届」を提出して、賞与に対する社会保険料を適切に納付することが必要ということになります。


【過去の通達(抜粋)】
1 報酬の範囲
(1)毎年7月1日現在における賃金、給料、俸給、手当又は賞与及びこれに準ずべきもので毎月支給されるもの(以下「通常の報酬」という。)以外のもの(以下「賞与」という。)の支給実態がつぎのいずれかに該当する場合は、当該賞与は報酬に該当すること。
 ア 賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定(以下「諸規定」という。)によって年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているとき。
 イ 賞与の支給が7月1日前の1年間を通じ4回以上行われているとき。したがつて、賞与の支給回数が、当該年の7月2日以降新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合においても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、報酬に係る当該賞与の取扱いは変らないものであること。

(2)賞与の支給回数の算定は、次により行うこと。
 ア 名称は異っても同一性質を有すると認められるもの毎に判別すること。
 イ 例外的に賞与が分割支給された場合は、分割分をまとめて1回として算定すること。
 ウ 当該年に限り支給されたことが明らかな賞与については、支給回数に算入しないこと。
 ※過去の通達にある「賞与にかかる報酬額の算定方法」については省略しています。

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