『事業承継』で『人事制度の解決』を狙う!

2015年10月7日

事業承継における人事制度見直しのポイント

 経営相談会に参加すると多くの方から事業承継の相談を頂きます。その内容は相続税対策や株式の相談がほとんどで、人事制度関連の相談は非常に少ない状況です。
 事業承継にあたって人事制度についての課題はないのでしょうか?
 今号では、事業承継における人事制度の見直しについてお話しいたします。

事業承継における人事制度の課題

 顧客企業に伺うと、創業社長の圧倒的な影響力によってワンマン経営が行われてきた企業と多く出会います。このような企業においては、「なぜその処遇なのか」「なぜそんなに評価されるのか」「なぜその賃金なのか」という状況、つまり創業社長の一存で、根拠に乏しいまま処遇や役職、賃金などが決まっているケースが散見されます。

 創業社長の在任中であれば、この状況下でも社員からの不満は顕在化しにくいのですが、事業を承継する場合、後継者が創業社長の影響力を承継することは難しい(後継者が創業社長と同じ能力を持っているとは限らない)ため、事業を承継した途端に社員から不満が噴出することも想定されます。
 そのため、事業承継においては、影響力のある創業社長が在任中に人事制度の諸問題を解決するための取り組みを行い、不満となり得る要素を取り除いておく必要があります。
人事制度の見直しのポイント

 人事制度は以下の3つの制度によって構成されています。

参考画像

 また、上記制度を見直すときのポイントは次のようなものが考えられます。
 ①不合理な処遇格差の是正(資格等級制度)
 ②会社(後継者)から社員へメッセージ性をもった制度とすること(人事考課制度)
 ③不合理な賃金格差の是正(賃金制度)
 これら見直しを通じて、不満の種を取り除いていきます。また、そもそも現行の人員体制が適正か否かの検証も大切です。5年後、10年後を見据えた人員体制や年齢構成になっていない場合、事業を承継したものの、後継者を支える人員が一斉に引退となっては大変です。そのような事態を避けるためにも“幹部の若返り”を早めに検討しておきましょう。

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