第6回 KPI(Key
Performance
Indicator:主要業績指標)とは

2024年9月10日
第6回 KPI(Key Performance Indicator:主要業績指標)とは

【5分で納得コラム】
今回のテーマは、「KPI(Key Performance Indicator:主要業績指標)とは」です。

第6回 KPI(Key Performance Indicator:主要業績指標)とは

第3回で解説したとおり、FP&Aは単なる財務データの提供者にとどまらず、事業運営に積極的に関与し、意思決定プロセスを支援する役割を担っています。FP&Aの重要な役割の一つである業績分析では、企業の戦略計画に基づいてKPIを設定し、定期的にその進捗をモニタリングします。

KPI(Key Performance Indicator:主要業績指標)とは、企業や組織が目標を達成するために、進捗状況を測定する具体的な指標を指します。KPIは、業務やプロジェクトのパフォーマンスを定量的に評価するための基準として使用されます。

1. KPIの設定手順

KPIは以下の手順で設定します。

(1)目標の設定

まず、KPIを設定するための目標指標(KGI:Key Goal Indicator)を明確にします。例えば、新製品の売上目標を10億円に設定することが考えられます。

(2)目標達成に必要な主要要素の特定(CSF)

目標を達成するために必要な主要要素(CSF:Critical Success Factors)を洗い出します。例えば、広告宣伝効果や顧客満足度などが挙げられます。

(3)KPIの選定

目標指標を各要素に細分化し、具体的なKPIを設定します。例えば、広告経由での購入数(広告による売上が全体の25%を占めること)や、顧客満足度(購入後のアンケートでの顧客満足度スコアを平均4.5以上とすること)などが挙げられます。

(4)ベースラインと目標値の設定

現在の数値(ベースライン)を基に、達成可能な目標値を設定します。例えば、広告経由での売上を現状の10%から25%に増加させる、または顧客満足度スコアを4.2から4.5以上に向上させることが考えられます。

(5)データ収集方法の決定

各KPIを測定するために必要なデータの収集方法を決定します。例えば、広告効果の測定には、広告プラットフォームのデータと販売データを連携させる方法や、顧客満足度の測定には購入後のアンケート調査を分析する方法が挙げられます。

(6)進捗管理とモニタリング

KPIを定期的にモニタリングし、進捗状況を確認します。月次で各KPIをチェックし、目標に対する達成状況を分析、必要に応じてキャンペーンやプロモーションを調整し、KPIを改善します。

(7)フィードバックと調整

KPIの進捗に基づき、必要な改善策や調整を行います。例えば、広告効果が低い場合には広告内容やターゲティングを見直し、最適化を図ります。顧客満足度が低下している場合には、商品の品質改善やアフターサービスの強化を実施します。

(8)KPIの再評価と最適化

四半期ごとにKPIを再評価し、次期に向けて目標や手法を最適化します。目標を達成した場合には、次の製品の発売や新市場への拡大を検討し、達成できなかった場合には販売戦略を見直し、新たな目標を設定します。

2. KPI設定のポイント

KPI設定のポイントとして、まず第一に、KPIを財務数値に結び付けることが重要です。新規顧客獲得件数や廃棄率などの非財務指標ではなく、売上増加額や廃棄高などの財務数値をKPIとして設定することが効果的です。

第二に、全社KPIを起点として、各事業部門の改善活動に結び付くように指標を展開し、全社KPIと部門KPIを体系的に整えることが求められます。たとえば、ROAや営業利益率といった指標については、数式の算定要素を詳細に展開し、各事業部門が実行可能なレベルまで細分化します。

第三に、一般的に売上高や利益といった損益計算書(P/L)の項目は事業部門の関心が高い一方で、売掛金や棚卸資産といった運転資本の項目は、資金繰りに困っている状況でない限り、関心が低くなりがちです。そのため、これらの運転資本をKPIに設定せず、管理が不十分になることが多く見受けられます。しかし、運転資本の管理を強化し、キャッシュアウトから回収までの期間を短縮することで、運転資金を増やし、資金余力を確保することが可能になります。

図 KPIの設定例

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仰星コンサルティング株式会社

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