令和6年1月前後で、電子取引データの保存範囲は変わりますか。(電取追1)
<2024年最新>電子帳簿保存法の追加問答集
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【5分で納得コラム】今回のテーマは、「電子帳簿保存法の追加問答集」です。
1. はじめに
電子帳簿保存法に関する「お問い合わせの多いご質問」が更新されました。
この追加問答集は、「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】、【スキャナ保存関係】、【電子取引関係】(令和5年6月版)」の公表後、ご質問の多かった事項について追加問として整理し、集約したものです。
なお、この追加問答集は、令和6年1月1日以後に適用されます。
また、文中の「電子帳簿保存法一問一答」は、令和6年1月1日以後の取扱いに関するものをいいます。今回は、「お問い合わせの多いご質問」のうち、主なものをご紹介します。
2. 電子取引関係
Q.A.令和6年1月施行前後で、電子取引データの保存範囲は変わりません。
また、法人税法及び所得税法において、「取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し」を保存することとされており、電子帳簿保存法における電子取引データの保存範囲もこれらの書類を紙で保存する場合の保存範囲と変わりありません。
例えば、「見積書」との名称の書類で相手に交付したものであっても、連絡ミスによる誤りや単純な書き損じ等があるもの、事業の検討段階で作成された、正式な見積書前の粗々なもの、取引を希望する会社から一方的に送られてくる見積書などは、保存の必要はないものと考えられます。
ここで、電子取引データの保存方法を整理すると以下になります。
電子データの保存方法
(1)対象者
申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある方(2)どのような場合
注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合(3)どのようなデータの保存が必要か
・紙でやりとりしていた場合に保存が必要な書類(注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など)に相当するデータを保存する必要がある
・あくまでデータでやりとりしたものが対象であり、紙でやりとりしたものをデータ化しなければならない訳ではない
・受け取った場合だけでなく、送った場合にも保存する必要がある(4)どのように保存する必要があるか
・改ざん防止のための措置をとる必要がある
・「日付・金額・取引先」で検索できる必要がある
・ディスプレイやプリンタ等を備え付ける必要がある
・保存するファイル形式は問わず、PDFに変換したものや、スクリーンショットでも問題ないQ.ECサイトで物品を購入したとき、ECサイト上の購入者の購入情報を管理するページ内において、領収書等データをダウンロードすることができる場合に、領収書等データを必ずダウンロードして保存する必要がありますか。(電取追2)
A.《ECサイトを利用した場合の領収書等データのダウンロードについて》
インターネット上でその領収書等データを確認できることとなった時点が電子取引の授受があったタイミングと考えられます(電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問40参考)。
このため、ECサイト提供事業者が提供するECサイトを利用し物品を購入した場合に、当該ECサイト上で領収書等データの取引情報を確認することができるようになった時点で電子取引の受領があったものとして、電子取引に係る保存義務者(物品の購入者)は、その領収書等データを保存する必要がありますが、当該ECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えありません。
ここで、この取扱いによる場合の要件および、領収書等データの保存期間に関する注意事項を整理すると以下になります。
この取扱いによる場合の要件
・ECサイト提供事業者が、電子取引に係る保存義務者(物品の購入者)において満たすべき真実性の確保及び検索機能の確保の要件を満たしている場合に可
・ただし、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録の提示等の求めに応じることができるようにしている場合等(※)は、全ての検索機能の確保の要件が不要とされることから、ECサイト上の購入者の購入情報を管理するページ内において、検索機能の確保がなされている必要はない
(※)判定期間に係る基準期間の売上高が 5,000 万円以下の事業者又は電磁的記録を出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを提示・提出できるようにしている事業者
保存期間に関する注意事項
・各税法に定められた保存期間中、保存時に満たすべき要件に沿って適切に保存する必要がある
・上記方法で保存している領収書等データは各税法に定められた保存期間が満了するまでECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である必要がある
・各税法に定められた保存期間が満了する前にECサイト上でその領収書等データの確認ができなくなる場合は、その確認ができなくなる前にその領収書等データをダウンロードして保存する必要がある
Q.インターネットバンキングを利用した振込等も電子取引に該当し、振込等を実施した取引年月日・金額・振込先名等が記載されたデータの保存が必要とのことですが、金融機関のオンライン上の通帳や入出金明細等による保存も可能でしょうか。(電取追2-2)
A.インターネットバンキングを利用した振込等に係る取引年月日・金額・振込先名等が記載されたデータについては、そのデータ(又は画面)をダウンロードする又は印刷機能等によってPDFファイルを作成するなどの方法により保存することとしています(電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問9参照)。
そのほか、金融機関のオンライン上の通帳や入出金明細等(以下「オンライン上の通帳等」という。)による保存も可能です。
この場合において、1件の振込等において振込先が複数あるときは、各振込先・振込金額を確認できる書類等の保存が必要です。
なお、オンライン上の通帳等による保存の場合、オンライン上の通帳等の確認が随時可能な状態であるときは、必ずしもオンライン上の通帳等をダウンロードして保存していなくても差し支えありません。
この取扱いによる場合には、上記電取追2の《この取扱いによる場合の要件》や《保存期間に関する注意事項》を併せて参考にしてください。
国税庁HP
・電子帳簿等保存制度についてお問合せが多いご質問
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm
執筆陣紹介
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仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。