第12回 データドリブン経営とは

2025年1月9日
第12回 データドリブン経営とは

【5分で納得コラム】
今回のテーマは、「データドリブン経営とは」です。

データドリブン経営は、データ分析を活用した意思決定や戦略策定を実現する経営手法であり、その中核を担うのがFP&A(財務計画および分析)機能です。FP&Aは、財務データを基に精度の高い予測を行い、経営層に的確な洞察を提供します。また、リアルタイムのモニタリングやシナリオ分析を活用し、変化する市場環境やリスクに迅速に対応する体制を支援します。

さらに、FP&Aは財務データにとどまらず、営業、マーケティング、生産など全社的なデータを統合・分析し、戦略とオペレーションを密接に結びつけます。このように、FP&Aは意思決定を迅速かつ精緻化するだけでなく、企業の持続的成長や競争優位性の確立にも重要な役割を果たします。

今回はデータドリブン経営の概要を説明します。

第12回 データドリブン経営とは

1. データドリブン経営とは

データドリブン経営とは、経営の意思決定や戦略策定において、定量的かつ客観的なデータを主軸とする経営手法を指します。このアプローチでは、直感や経験則に頼るのではなく、収集されたデータの分析結果や統計的根拠に基づいて意思決定を行います。

データドリブン経営を実現するには、適切なテクノロジーの導入と専門的なスキルが必要です。FP&Aチームにはデータサイエンスやビジネスインテリジェンスツールを活用するスキルが求められ、経営陣にはデータを活用した意思決定を推進する文化の醸成が不可欠です。

(1)データドリブン経営の特徴

①データ活用を前提とした意思決定

経営層や現場のマネージャーが、KPI(重要業績評価指標)やデータ分析結果に基づいて、根拠のある意思決定を行います。

②リアルタイムの情報管理

データドリブン経営では、リアルタイムでのデータ収集と分析が欠かせません。そのため、BIツール(Business Intelligence)やダッシュボードを活用し、タイムリーに情報を取得して迅速な対応を可能にします。

③データインフラの整備

財務データに加え、営業、マーケティング、生産といった各部門のデータを統合し、全社的な視点で分析を行うことが重要です。これにより、部門間の壁を超えた戦略策定が可能となり、資源配分や投資判断の精度が向上します。そのため、クラウド、データウェアハウス、AI/MLツールなどを活用したデータ収集・統合・分析の仕組みが必要です。

④予測と最適化

AIや統計モデルを活用し、過去データだけでなく未来のシナリオを予測し、戦略に反映させます。これにより、財務計画や予算編成を現実に即したものにし、外部環境の変化にも柔軟に対応可能です。たとえば、AIや機械学習を活用したツールの導入によって、シナリオ分析や予測精度を大幅に向上させることができます。

(2)データドリブン経営の流れ

①目的と課題の明確化

まず、何を目指し、どの課題を解決するのかを明確にすることが最初のステップです。目的が不明確なままデジタル技術やツールを導入すると、ツールの範囲内でしか成果を出せず、課題解決に至らない可能性があります。そのため、データドリブン経営の目的と現状の課題を具体的に定義することが重要です。

②データの収集

目的達成に必要なデータを内部および外部から収集します。この段階では、IoTデバイス、Webログ、アンケート調査、CRM(顧客管理システム)など、多様なデータソースを活用します。

③データの整理・統合

収集したデータを分析可能な形に整えるため、データクレンジングやフォーマット変換を行い、データを一元管理します。このプロセスにより、データの整合性と信頼性を確保します。

④データの分析

整理されたデータを基に、BIツールやAIツールを用いて目的に応じた分析を実施します。分析の手法やツールは、解決したい課題や達成すべき目標に応じて選択します。

⑤意思決定

分析結果に基づき、具体的な意思決定を行います。この段階では、経営層や担当者がデータを適切に解釈し、実行可能な次のアクションを決定します。

イメージ

図 データドリブン経営の流れ

執筆陣紹介

仰星コンサルティング株式会社

仰星コンサルティング株式会社は、仰星監査法人グループのコンサルティング会社であり、
クライアントの成長、再生を成功に導くために、付加価値の高いソリューションサービスを提供いたします。
主な業務として、海外子会社等の調査や内部監査支援などのリスクアドバイザリーサービス、
M&A後の業務統合を支援するPMIや決算早期化、IT導入を支援するマネジメントコンサルティングサービス、
買収・組織再編を支援するファイナンシャルアドバイザリーサービス、
上場を成功に導くIPO支援サービスを展開しております。

≪仰星コンサルティング株式会社の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る