求人広告の的確表示 “闇バイト”対策で注意喚起
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【5分で納得コラム】今回のテーマは「求人広告の的確表示 “闇バイト”対策で注意喚起」です。
求人広告の的確表示 “闇バイト”対策で注意喚起
1. 求人広告の多様化
ハローワークや紙媒体による求人広告が中心だった時代から、WEBサイトやSNSによる求人広告などの多様な求人メディアを活用する時代へと変化する中で、2022年に職業安定法が改正され、新たな形態の求人サービスも含まれるよう「募集情報等提供」の定義が拡大されました。そして、募集情報等提供事業を行う者を届出制として事業概況の報告を求めるなど、募集情報等提供事業を行う者に関するルールが職業安定法において明記されました。
また、同時に、募集情報等提供事業を行う者や求人企業に対して、求人広告における情報を的確に表示することが義務付けられました。2. 求人広告の的確表示
求人広告における情報を的確に表示するとは、具体的には、WEBサイトやSNS等の求人広告により提供する求人情報(求人情報、求職者情報、求人企業に関する情報、自社に関する情報、事業の実績に関する情報)について、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしないことをいいます。 なお、当該表示の例は次のとおりです。
*「虚偽の表示」の例
例)実際に求人を行う企業と別の企業の名前で求人を行う。
例)「正社員」と謳いながら、実際には「アルバイト・ パート 」の募集をする。
例)基本給○万円と表示しながら実際にはその金額よりも低額の賃金を予定している。
例)実際には採用予定のない求人を出す。*「誤解を生じさせる表示」の例
例)優れた製品開発実績を持つグループ会社の実績を大きく記載し、あたかもその求人企業の実績であるかのように表示する。
例)請負契約の案件であることを明示せず、労働者の募集と同じ表示をする。
例)社内で給与の高い労働者の基本給を例示し、全ての労働者の基本給であるかのように表示する。
例)営業職が中心の業務について事務職と表示する。また、求人情報について、正確かつ最新の内容に保つこと又は保つための措置を講じることが義務づけられています。
3. “闇バイト”対策
2024年12月に、政府において『いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策』が取りまとめられましたが、その中で「犯行に加担させないための対策」のひとつとして、求人広告についても触れられています。具体的には、労働者の募集を行う者が広告等により募集情報を提供するときは、職業安定法に基づき、求人者の「氏名又は名称」「住所」「連絡先」「業務内容」「就業場所」「賃金」の6情報の表示が求められ、これらの表示がないものについては違法である旨を通知により明確化し、広く周知徹底することです。
これを受けて、厚生労働省では「求人企業の皆さまへ」「仕事をお探しの方へ」のリーフレットを作成して注意喚起しています。○仕事をお探しの方へ
怪しい求人には応募しないでください!念のため自社の求人広告を確認しておきましょう。
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
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食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。