【シリーズ連載】BIツールを活用して決算業務を最短で完結する!
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経理のプロが選ぶ会計システムはなにが凄い?
第3回「BIツールを活用して決算業務を最短で完結する!」多くの企業の経営改善を行ってきた、バックオフィスや管理部門の実務のプロ集団「株式会社RSTANDARD」。その代表の清水氏が、様々な会計システムを使ってきた中で、「使える会計システム」の条件をシリーズで語るコラム企画。
何故、決算業務に時間がかかるのか?
経理には、決算業務がつきものである。四半期ごとに行われる決算業務では、当然のように多くの経理マンが高負荷業務を強いられている。IT化が進んでいる一方、事業の多様化や会計処理・開示資料・税務申告で要求されている項目が増えているのがその主な要因である。何故、決算業務に時間がかかるかと言えば、非経常業務でありながら、膨大な量の会計情報の集計・計算を「力技」で行う部分が多いからである。
この「力技」による決算業務は、業務品質の点から問題が指摘されている。「力技」であるがゆえに、ミスを誘発する可能性が高いためである。手作業で多段階の集計・加工をしていると、完ぺきに仕上げるのは至難の業であることは言うまでもない。
2019年3月期有価証券報告書の提出後、内容の訂正を行った会社は152社・訂正事項の総数は322件であった。そのうち「経理の状況」は135件と41.9%を占める。この数値から「力技」によるミスが多いことも推測できる。繰り返される決算業務のミスは、信用棄損・担当者の疲弊・膨大な時間浪費を招くため、早急に対処したいところである。BIツールで決算業務を最短で完結しよう!
BI(Business Intelligence)ツールは、企業が日々蓄積されていく膨大なデータを分析し、その分析結果を経営意思決定に活用することを助けるものである。一般的には、業績報告や分析報告に活用されている。多くの人がBIツールといえば、これらを連想するのではないか。
このBIツールであるが、実は他にも有益な使い方がある。このBIツールで転記に必要な開示データや税務関連データなどを集計・表示させることができるのである。この方法を利用することで、四半期ごとの決算作業が劇的に軽減されることはあまり知られていない。次に、その一部をご紹介しよう。
[1]多店舗展開している業態の減損会計では、店舗資産のグルーピング・減損の兆候の把握・減損の認識の判定・減損損失の測定という手順を行う。これを手作業で行うと相当な時間を要してしまう。一方、BIツールを利用することにより、店舗資産のグルーピング~減損認識の判定までを瞬時に表示させることができるので、減損会計処理が短時間でできるのである。
[2]決算短信・四半期報告書・有価証券報告書に記載が必要な数値をBIツールで一括して瞬時に集計・計算することができる。
[3]法人税や地方税計算に必要な数値をBIツールで一括して瞬時に集計・計算することができる。
[4]上記で必要となる人数等の非会計情報も会計システムへ入力しておくことで、BIツールで一括して瞬時に集計・計算することができる。
このように、決算で必要な情報の多くをBIで「瞬時」に集計・表示させることができるので、劇的に決算作業の効率化が図ることができるのである。また、担当者が変更となっても柔軟に対応できるのは相当なメリットでもある。
決算作業を劇的に効率化できる会計システム
BIツールで決算作業を効率化できることは既に述べたとおりであるが、市販のBIツールでは集計するテンプレートの作成が難しいという欠点がある。おすすめは、会計のデータベースに直結していて、操作性が容易なBI標準装備の「ZeeM 会計」。必要な決算情報を表示するテンプレートをEXCEL上で作成しておけば、もう決算作業は特別な業務ではなくなるという優れものなのである。
この「ZeeM 会計」のBIツールを利用した決算業務の効率化のポイントをご紹介しよう。
特徴 DB直結 会計DBに直結しているため、集計された数値と会計数値に不一致が発生しない。整合性が常に取れている。 EXCEL 集計された数値がEXCELに反映されるため、加工や転記がしやすい。経験の浅いスタッフでも作業ができる。 仕訳修正 頻繁に仕訳の追加・修正が行われても、何度も集計を繰り返す必要がない。仕訳の追加・修正分が即時反映される。 前年比較 前年の集計データと比較しながらデータの正確性を確認できる。 開示情報 開示情報の殆どを一括して集計できる。 税務情報 税務データの殆どを一括して集計できる。 既にこのZeeM 会計のBIツールを利用している企業では、決算期でも効率的に業務を行っている。効率的かつ正確に作業を行えることが、経理を行う人々にとって最大の付加価値であることはいうまでもない。一度でも使ってみたら、その圧倒的な優位性を感じることができるだろう。
おわりに
会計システムは、情報をインプットするものではない。情報をアウトプットして活用するものである。しかし、情報のアウトプットに苦戦している企業の姿を今でも多く目にする。効率的な情報のアウトプット方法を知っているか否かが、これからの経理部の生産性を決定するかもしれない。
厳しい経営環境だからこそ、経理部の付加価値向上に少しでも寄与できたらと願う。
著者プロフィール
- 清水 武洋 株式会社RSTANDARD 代表取締役
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株式会社RSTANDARD(アールスタンダード)・会社概要
スタートアップ企業から一部上場企業まで幅広く経理業務のアウトソーシング・経理のコンサルティング業務を中心に事業を展開。クライアント先で業務代行を行うだけでなく、低コストかつ最短で高度化した経理部門となるための方策を提案、変革するための支援も行うなど、専門コンサルティング領域にも力を入れている。
クライアントの成長に寄与することを使命として、スローガンである「Re-make The Standard(新たな付加価値を標準化に)」を掲げている。
※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。