代休取得の期限について

2015年5月15日

最近のクライアントからの質問の中で、代休と年休の取得に関するものがありました。代休が取得されない状態で残っていることから、年休よりも優先的に取得させたいが、本人から年休取得の申し出があった場合に、代休の取得を優先的に指示できないかというものです。

代休は休日勤務分の賃金が紐づいていることから、代休を取得することで賃金が控除されることを嫌って年休の申し出をする従業員が多いとの悩みです。

以下、Q&A形式で記載してみましたのでご確認ください。

代休と年休の優先について

Q1:代休と年休を保有している従業員から代休取得による給与減額を避けるため、年休を優先取得したいと申し出があるようなケースへの対応は?

A1:例えば、休日勤務を取得する場合の申請書に代休取得予定日を記載してもらい、休日勤務と合わせて承認する方法などが考えられます。(=振替休日のような運用をするということです。)

Q2:年休申し出をしている従業員に代休の優先取得を命令できるか?

A2:結論としては、代休の優先取得を命令することはできないと考えます。ただし、あらかじめ代休取得が決まっている日に年休取得の申し出はできないことになるので、上記A1の対応をすることで、この問題を解消する一つの方法になると考えています。

代休取得の期限について

Q1:本来の趣旨から言えば、代休取得日は休日勤務からできるだけ近い日がよいと思うが、『基発第0529001号(平成21年5月29日)』通達を参考に決めるのはどうか?

第3の3の(3)代替休暇を与えることができる期間(則第19条の2第1項第3号関係)

代替休暇を与えることができる期間については、特に長い時間外労働が行われた月から一定の近接した期間に与えられることによって労働者の休息の機会とする観点から、則第19条の2第1項第3号において、時間外労働が一箇月について60時間を超えた当該一箇月の末日の翌日から二箇月以内とされており、労使協定では、この範囲内で定める必要があること。

A1:代休取得日の設定において、実務上は取得期限に余裕を持って設定している方が取得率は高くなります。ご質問の通り、本来の趣旨から言えば代休取得日は休日勤務日からできるだけ近い日がよいと考えますが、休日勤務日の翌月中を期限にするケースなども比較的一般的な運用です。
(翌月中に取得できない場合には賃金で清算)。
賃金が紐づく代休の場合、賃金支払い5原則から考えると2ヶ月以内に取得するよう期限を設定することは問題かと思いますが、許容される範囲とも言えそうです。
ただし、できれば休日勤務日の賃金は先に支払った上で代休を取得させる運用が望ましいと考えます。

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