2025年3月期の決算留意事項の概要

2025年3月13日
2025年3月期の決算留意事項の概要

【5分で納得コラム】今回は「2025年3月期の決算留意事項の概要」について解説します。

2025年3月期の決算留意事項の概要

1. はじめに

3月決算会社におかれましては、間もなく期末決算を迎えるかと思います。2025年2月20日に「2025 年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」が企業会計基準委員会より公表されました。
今回は、多くの会社で影響の生じる可能性がある、この取扱いの概要についてご紹介したいと思います。

2. 「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」

(1)目的

「令和7年度税制改正の大綱」が2024年12月27日に閣議決定され、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置の一環として防衛特別法人税(仮称)の創設が掲げられました。
本文書は、改正税法が2025年3月31日までに成立した場合を想定し、主として2025年3月31日に決算日を迎える企業における防衛特別法人税の取扱いを明らかにすることで、実務に資するための情報を提供することを目的としています。

(2)2025年3月期の影響

2025年2月4日に国会に提出された改正税法の法案によれば、防衛特別法人税が法人税額から500万円を控除した額を課税標準とする税率4%の新たな付加税として創設され、2026年4月1日以後に開始する事業年度から課される予定とされています。
防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から課される予定であるため、2025年3月31日に終了する事業年度の決算にあたっては、当該税金に係る影響はないと考えられます。
一方、税効果会計の適用については、改正税法が2025年3月31日までに成立した場合、改正税法の影響を反映する必要があると考えられます。

(3)税効果会計の適用における取扱い

企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」)第44項では、「繰延税金資産及び繰延税金負債の額は、決算日において国会で成立している税法(以下、法人税等の納付税額の計算方法が規定されている我が国の法律を総称して『税法』)に規定されている方法に基づき第8項に定める将来の会計期間における減額税金又は増額税金の見積額を計算します。

決算日において国会で成立している税法とは、決算日以前に成立した税法を改正するための法律を反映した後の税法をいいます。
そのため、改正税法が2025年3月31日までに成立した場合、同日に決算日を迎える企業にあっては、税効果会計の適用における2026年4月1日以後に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に際して、防衛特別法人税の影響を反映する必要があると考えられます。

また、税効果適用指針第46項では、「法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等(法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)の税率が規定されている税法)に規定されている税率による。」とされています。

防衛特別法人税については、税効果適用指針第46項に掲げる税金には明示されていないものの、法人税に対する付加税として課されるものであるため、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金である法人税等に該当すると考えられます。
したがって、改正税法が成立した場合には、法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)と同様に取り扱い、以下の算式により法定実効税率を算定することが税効果適用指針の趣旨に適うこととなると考えられています。なお、防衛特別法人税の課税標準の計算において、法人税額から基礎控除額として500万円を控除することが予定されていますが、下記の算式においては考慮されていません。

イメージ

(凡例)
・補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」の公表(企業会計基準委員会)

執筆陣紹介

仰星監査法人

仰星監査法人は、公認会計士を中心とした約170名の人員が所属する中堅監査法人です。全国に4事務所(東京、大阪、名古屋、北陸)2オフィス(札幌、福岡)を展開しており、監査・保証業務、株式上場(IPO)支援業務、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、パブリック関連業務、コンサルティングサービス、国際・IFRS関連業務、経営革新等認定支援機関関連業務などのサービスを提供。

≪仰星監査法人の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る