令和6年度の最低賃金
今年度も引上げ額昭和53年度以降最高
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【5分で納得コラム】
今回のテーマは「令和6年度の最低賃金 今年度も引上げ額昭和53年度以降最高」です。令和6年度の最低賃金 今年度も引上げ額昭和53年度以降最高
1. 令和6年度の最低賃金額
すべての都道府県において、令和6年10月(一部令和6年11月)から改定される最低賃金が決定しました。
今年度の引上げ額(全国加重平均51円)は、前年度に引き続き昭和53年度以降の最高額となっています。個別にみると、84円が最高額で1県、59円が2県、58円が1県、57円が1県、56円が3県、55円が7県、54円が3県、53円が1県、52円が2県、51円が6県、50円が20都道府県となっており、半数超の27県で中央最低賃金審議会から示された引上げ額の目安(50円)を超える額の引上げを決定しています。
2. 最低賃金以上か確認を
2年度連続で大幅な引上げとなった最低賃金ですが、当該額を下回ることがないように注意しなければなりません。
時間給の場合であれば最低賃金以上であるか否かの確認は容易ですが、月給などの場合は法令に定める計算方法により時間あたりの金額に換算して確認が必要になります。
例えば、月給の場合であれば、以下の計算式に基づいて確認します。
「月給」 ÷ 「年の1ヵ月平均所定労働時間」 ≧ 最低賃金額
「月給」には、基本給だけでなく手当も含まれますが、次の賃金は含まれません。
- 【最低賃金の対象とならない賃金】
- (1)臨時に支払われる賃金(例:結婚祝金)
- (2)1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:半期賞与)
- (3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(例:時間外勤務手当)
- (4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(例:休日勤務手当)
- (5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(例:深夜勤務手当)
- (6)精皆勤手当
- (7)家族手当
- (8)通勤手当
なお、残業代を予め定額で支払う固定残業代の仕組みを導入している場合は、その固定残業代の性格により上記の(3)から(5)に該当しますので、固定残業代の金額を除いた上で最低賃金以上となっているかの確認が必要になります。
また、「1ヵ月平均所定労働時間」は、年間の所定労働時間を12で除して算出します。
3. 最低賃金引き上げに伴う助成金など
仮に、東京の事業所で年の1ヵ月平均所定労働時間が170時間であったとすると、基本給などは月額197,710円以上でなければならず、新卒社員などでそれ未満の月額を定めている場合は給与額の引上げが必要になります。
□東京・年の1ヵ月平均所定労働時間が170時間の場合
月額 1,163円×170時間=197,710円給与額引上げに関する企業への支援策として厚生労働省などでは助成金などを用意していますので、そちらの活用も検討されるとよいでしょう。ただし、いくつかの要件を満たす必要がありますので制度内容の事前確認が必要です。
■ご参考(例)
令和6年度業務改善助成金のご案内
キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)
各都道府県の賃金引上げ支援施策について
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
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食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。