第3回 FP&Aの役割

2024年7月25日
第3回 FP&Aの役割

【5分で納得コラム】
今回のテーマは、「FP&Aの役割」です。

1. FP&Aの役割

企業がリスクを最小限に抑えつつ、最適な戦略を選択し、市場の変動や経済環境の変化に迅速に対応するためには、正確でタイムリーな財務情報が必要です。FP&Aには、事業内容を良く理解し、コミュニケーションスキルに長けていることが求められ、本社CFOと連絡を取りながら、全社視点を持って正しい数値に基づき事業部門が正しく意思決定できるように導く役割が求められます。FP&Aの役割は、大きくコンプライアンスとビジネスパートナーシップに分けられます。

図 FP&Aの役割

2. コンプライアンス

(1)法令遵守

企業のブランドイメージの向上やステークホルダーからの信頼を得るために、法令遵守は企業活動を行う上で非常に重要なものです。そのため、FP&Aは、会計や法令上の報告、税やその他法令遵守に関係する法令の義務を遵守する役割が求められます。

プロジェクトや事業を計画する初期の段階で、会計や法令に関するチェックをすることで後戻りがなくなり、迅速な意思決定を支援します。

(2)内部統制

業務の透明性を向上し、不正や不祥事の発生を未然に防ぐために、内部統制を構築し文書化するとともに、当該内部統制が適切に運用されていることをモニタリングする役割が求められます。

3. ビジネスパートナーシップ

ビジネスパートナーシップとは、FP&Aチームが企業内の他の部門やチームと緊密に連携し、その財務知識と分析力を活用して組織全体の戦略的目標を達成するための協力関係を指します。ビジネスパートナーシップは、FP&Aが単なる財務データの提供者に留まらず、積極的に事業運営に関与し、意思決定プロセスを支援する役割を果たすことを意味します。

(1)予算作成と管理

戦略計画及び中期経営計画を策定し、戦略を実行するために必要なプロジェクトを明確にします。当該プロジェクトに必要な資源を明確にして、各部署からデータを収集し、各部署間の調整を行った上で、年度予算を策定します。また、予算の達成状況をモニタリングし、必要に応じて予算修正を行うとともに、最新の情報に基づき予算見込の管理を行います。

(2)業績分析

① 業績分析

予算は管理会計に基づき作成することが一般的です。部門別の収益性データやコスト情報(変動費、固定費など)などについて、実績と予算、過去のトレンドとの比較を行い、ギャップ分析を実施し、経営陣に対して報告します。近年はBIツールやExcelなどを活用して、データの可視化と分析を行う傾向にあります。

② KPIの設定とモニタリング

企業の戦略計画に基づいてKPI(Key Performance Indicator:主要業績指標)を設定し、定期的にモニタリングし、業績を評価し、改善点を提案します。

KPIは「年間売上10%増加」など、具体的で測定可能である必要があります。過度に高すぎる目標は、従業員のモチベーションを下げる可能性があるため、KPIは現実的に達成可能であることが重要です。また、KPI達成のための明確な期限を短期、中期、長期の目標として設定することで、進捗を段階的に評価できます。

(3)経営戦略の支援

経営陣が意思決定を行う際の財務的な助言をします。例えば、新製品開発に伴うコストと収益を分析し、プロジェクトの進捗をモニタリングします。FP&Aは製品開発チームと協力して、プロジェクトの収益性を確保するための財務的な助言を行います。

他にも投資案件の評価を行う場合に、将来のキャッシュフロー、収益性、費用、投資額などを予測し、財務モデルを構築します。当該モデルに基づき、内部収益率(IRR)、正味現在価値(NPV)などを用いて投資案件の収益性を評価し、投資判断の意思決定を支援します。

執筆陣紹介

仰星コンサルティング株式会社

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