2024年12月2日健康保険証「廃止」/必要な対応について解説します

2024年7月25日
2024年12月2日健康保険証「廃止」/必要な対応について解説します

【5分で納得コラム】
今回は、2024年12月2日健康保険証廃止の概要と必要な対応ついて解説します。

1. 健康保険証の廃止

国のマイナンバーカードと健康保険被保険者証(以下、健康保険証)の一体化の方針に基づき、2024年(令和6年)12月2日から健康保険証に関わる仕組みが変わります。

具体的には、これまでは、会社が健康保険の資格取得手続きを行った場合、保険者(協会けんぽなど)から健康保険証が交付され、各人が医療機関を受診するときはそれを提出していましたが、2024年(令和6年)12月2日からは、健康保険の資格取得手続きを行っても健康保険証は発行されず、医療機関を受診するときは、基本はマイナンバーカードを提出する仕組みに変わります。

ちなみに、「なぜ、1日からではなく、2日から変更するのか?」と思われた方もいるかもしれませんが、12月1日付けで現行の健康保険証の更新を行うところが一部にあることや、窓口の混乱を避けるために自治体等の営業日から開始することなどを踏まえて、月曜日である2024年(令和6年)12月2日から変更することになっています。

2. 従来の健康保険証は利用できなくなる?

従来の健康保険証については経過措置が設けられており、最長で2025年(令和7年)12月1日まで利用することができます。よって、当面は、これまでと同様に、健康保険証とマイナンバーカードの両方を利用することができます。

ただし、経過措置期間中に転職・転居などで保険者の異動が生じたなどの場合は、健康保険証はその時点で失効となって利用できなくなります。

イメージ

※協会けんぽ「健康保険証とマイナンバーカードの一体化に関する制度説明資料」より

3. マイナンバーカードを取得していない場合は?

マイナンバーカードの取得は任意ですから、全員が取得しているわけではありません。総務省によれば、2024年(令和6年)7月7日時点のマイナンバーカードの交付状況は79.8%で、約2割の方はマイナンバーカードを所持していません。また、マイナンバーカードを取得していたとしても、健康保険証として利用するための登録を行っていなければ、医療機関で利用することはできません。このような場合は、どうなるのでしょうか。

2024年(令和6年)12月2日以降、マイナンバーカードを取得していない人やマイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録を行っていない人については、「資格確認書」が発行されます。よって、健康保険証として利用するための登録を行ったマイナンバーカードを持っていない場合でも、「資格確認書」を医療機関に提出して、従来どおり保険診療を受けることができます。

◇資格確認書のイメージ イメージ

※協会けんぽ「健康保険証とマイナンバーカードの一体化に関する制度説明資料」より

4. 「資格情報のお知らせ」の配布

本年9月ごろ(保険者により配布時期は異なります。)に、被保険者及び被扶養者の全員分の「資格情報のお知らせ」が保険者から会社宛に送付されてくる予定です。そこには、従来の健康保険証に記載されている記号・番号や資格取得年月日などの情報やマイナンバーの下4桁が記載されていますが、今後、被保険者等が保管するものになりますので、会社から対象者に配布する対応が必要です。

なお、「資格情報のお知らせ」は健康保険証の代わりにはなりませんが、万が一、医療機関等に設置されているカードリーダー等の故障等で、マイナンバーカードによる資格確認が行えない場合には、「資格情報のお知らせ」とマイナンバーカードを合わせて医療機関の窓口に提示することで、保険診療を受けることができます。

◇「資格情報のお知らせ」のイメージ イメージ

※協会けんぽ「健康保険証とマイナンバーカードの一体化に関する制度説明資料」より

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

≪岩楯めぐみ氏の最近のコラム≫

※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

コラム一覧に戻る