<令和5年度の最低賃金額>
昭和53年度以降最高額に引き上げ

2023年9月27日
<令和5年度の最低賃金額>昭和53年度以降最高額に引き上げ

【5分で納得コラム】今回は、「令和5年度の最低賃金額」について解説します。

令和5年度の最低賃金額 引上げ額は昭和53年度以降最高額

1. 令和5年度の最低賃金額

令和5年10月から改定される最低賃金額が、下表のとおり、すべての都道府県において決定されました。
今年度の引上げ額は昭和53年度以降の最高額で、47円が2県、46円が2県、45円が4県、44円が5県、43円が2県、42円が4県、41円が10都府県、40円が17道府県、39円が1県となっています。

◇令和5年度の最低賃金額

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2. 諸外国の最低賃金

令和5年度は大幅な引上げで、最低賃金の全国加重平均は1004円と初めて1000円台となりましたが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査資料やその他のWEBサイトで確認された情報によれば、諸外国の最低賃金は下表のとおりになっており、それらに比べると日本の最低賃金額はまだ低い状況にあります。

◆諸外国の最低賃金額

対象国等 最低賃金額 換算額 備考
イギリス 10.42ポンド 1917円 2023年4月現在
フランス 11.52ユーロ 1820円 2023年5月現在
ドイツ 12ユーロ 1896円 2022年10月現在
アメリカ
・ワシントンD.C. 17.00ドル 2499円 2023年7月現在
・サンフランシスコ 18.07ドル 2656円 2023年7月現在
・ロサンゼルス 16.78ドル
19.73ドル(客室60室以上のホテルの従業員対象)
2467円
2900円
2023年7月現在
・シカゴ 15.80ドル(21人以上規模対象)
15.00ドル(4~20人規模対象)
2323円
2205円
2023年7月現在
韓国 9620ウォン 1058円 2023年1月現在

※換算額は、1ポンド184円、1ドル147円、1ユーロ158円、1ウォン0.11円と仮定して計算した額。

なお、岸田総理大臣からは、2030年代半ばまでに最低賃金を全国加重平均で1500円に引き上げることを新たな目標にする旨の表明がなされましたが、この目標を達成することを前提にすれば、今後も今年度と同様の引上げ額が10年以上継続されることになります。

3. アルバイトの時給相場

最低賃金については前述のとおりですが、求人情報サイト等を運営する会社が公表している情報によれば、パート・アルバイトの時給相場は全国平均で1200円を超え1300円に迫る調査結果もあるなど、最低賃金を2~3割程度上回る形で推移しているようです。

これらはあくまで平均であって、業種・業態、地域により異なる状況があると思われますが、最低賃金を大幅に上回るような時給で求人をだしても、期待するほど応募が増えないという声も聞かれます。社会的に人手不足が進行する中で、賃金そのものだけでなく、非金銭的報酬も含めた魅力をどうアピールできるかが今後ますます重要になりそうです。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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