<定時決定とは?>算定基礎届の提出について

2023年6月20日
<定時決定とは?>算定基礎届の提出について

【5分で納得コラム】今回のテーマは「定時決定・算定基礎届の提出」です。

定時決定(算定基礎届の提出)

1. 定時決定

「定時決定」とは、社会保険料や年金額の基礎となる「標準報酬酬月額」を決定するための手続きで、4月から6月に支払われた給与の平均額等を記入した「算定基礎届」を作成して、毎年7月10日までに日本年金機構に提出することにより行います。

算定基礎届の提出を受けて決定された「標準報酬酬月額」は、原則として当年9月から翌年8月までの各月に適用されます。

2. 算定基礎届の記入・提出ガイドブック

算定基礎届の記入にあたっては、日本年金機構から毎年公開される「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」を確認するとよいでしょう。同ガイドブックには、報酬の考え方やケースごとの標準報酬月額の算出方法、よくある質問などが記載されています。また、事務説明動画も用意されています。

□ 算定基礎届の記入・提出ガイドブック

□ 算定基礎届事務説明(動画)

3. こんなところも注意しよう!

前述のガイドブックの中でも説明されていますが、誤った記入をしている例がみられますので、次の点にも注意して算定基礎届に記入しましょう。

支払基礎日数の考え方(欠勤の場合)

支払基礎日数は、その報酬の支払対象となった日数のことをいいますが、時給制・日給制の場合は「実際の出勤日数(年次有給休暇も含む。)」、月給制・週給制の場合は出勤日数に関係なく「暦日数」になります。

ただし、欠勤日数分だけ給与が差し引かれる場合は、就業規則、給与規程等に基づき事業所が定めた日数から欠勤日数を控除した日数が支払基礎日数になります。

例えば、月給者について欠勤1日につき20日分の1を控除する場合で、3日欠勤したときであれば、支払基礎日数は17日(=20日-3日)になります。

給与計算期間の途中から入社した場合

給与計算期間の途中から入社することにより、入社月の給与額が1ヵ月分の額とならない場合は、1ヵ月分の給与が支給されない月(途中入社月)を対象月から除いて算出します。

例えば、15日〆当月末払いの場合、4月1日に入社した社員については、4月に支給される給与は4月1日から4月15日までの半月分の給与となるため、4月給与は対象に含めず、5月・6月給与の2ヵ月の平均で算出します。

通勤手当として6ヵ月定期代を支払っている場合

通勤手当として6ヵ月定期代を支給している場合は、6ヵ月定期代を6で割って1ヵ月あたりの金額を算出し、それを4月から6月の各月の報酬月額に含めて算出します。

社宅(現物給与)がある場合

社宅を提供していている場合は、都道府県ごとに厚生労働大臣が定める価額で通貨に換算した額※を報酬月額に含めて算出します。なお、社宅料として被保険者本人がその一部を負担している場合は、当該通貨に換算した額から本人負担分を差し引いた不足額を報酬月額に含めます。

※都道府県ごとに厚生労働大臣が定める価額で通貨に換算した額は、都道府県別に厚生労働大臣が定めた1畳あたりの価額に、居室用の室(畳数)を乗じて算出します。なお、洋間など畳を敷いていない場合は、1.65㎡を1畳に換算して算出します。
また、当該額は、住宅の全部を対象とするのではなく、居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室など居住用の室を対象として算出します。よって、玄関、キッチン、トイレ、浴室、廊下などの居住用ではない室は対象に含めません。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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