出産育児一時金・2023年4月から支給額引き上げへ
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【5分で納得コラム】今回のテーマは「出産育児一時金支給額引き上げ」です。
出産育児一時金・2023年4月から支給額引き上げ
1. 出産育児一時金とは
出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険の被保険者又はその被扶養者が出産したときに支給されるもので、出産に要する経済的負担を軽減することを目的に1994年(平成6年)10月に創設された制度です。
制度創設当初の支給額は、分娩料、出産前後の健診費用、育児に伴う初期費用等の出産費用を勘案して30万円でしたが、分娩料の増加や産科医療補償制度の創設に伴う掛金負担などを踏まえて、下表のとおりこれまで金額改定がなされてきました。
□出産育児一時金の支給額の変遷
時期 金額 背景など 1994年(平成6年)10月~ 30万円 新設 2006年(平成18年)10月~ 35万円 国立病院機構等における平均分娩料を踏まえ増額 2009年(平成21年)1月~ 原則38万円 産科医療補償制度の掛金(3万円)を踏まえ増額(本来分35万円+加算3万円) 2009年(平成21年)10月~
※2021年3月までの暫定措置原則42万円 全施設の平均出産費用を踏まえ増額[暫定措置](本来分39万円+加算3万円) 2011年(平成23年)4月~ 原則42万円 暫定措置から恒久化へ 2015年(平成27年)1月~ 原則42万円 産科医療補償制度の掛金引き下げに伴う見直し(本来分40.4万円+加算1.6万円) 2022年(令和4年)1月~ 原則42万円 産科医療補償制度の掛金引き下げに伴う見直し(本来分40.8万円+加算1.2万円) なお、産科医療補償制度は、産科医不足の改善や産科医療提供体制の確保を背景に、より安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として2009年(平成21年)1月に創設された制度で、当該制度に加入する医療機関等が負担する掛金を財源に運営されています。
この制度に加入していない医療機関等で出産した場合の出産育児一時金は加算がない金額になりますが、医療機関等の当該制度への加入率は99.9%(2021年6月現在)であるため、ほとんどの場合は原則金額が支給されます。
2. 2023年4月からの支給額
出産費用は、公的病院・私的病院などの医療機関の違いや地域などによってその水準が異なりますが、社会保障審議会医療保険部会における「出産育児一時金の額は、令和4年度の全施設の出産費用の平均額の推計等を勘案し、令和5年4月から全国一律で50万円に引き上げるべき」との意見を踏まえて、2023年(令和5年)4月1日から、出産育児一時金の支給額は8万円増額されて原則50万円に改定されました。
□出産育児一時金の支給額改定
時期 金額 備考 2023年(令和5年)4月~ 原則50万円 全施設の平均出産費用を踏まえた増額(本来分48.8万円+加算1.2万円) また、これに伴い、出産育児一時金の引き上げによって必要以上の値上げが行われたり、意図しないサービス付加が生じたりすることがないよう、妊婦があらかじめ費用やサービスを踏まえて適切に医療機関等を選択できる環境を整備するため、2024年(令和6年)4月を目途に出産費用の見える化を実施すべく検討がなされています。
執筆陣紹介
- 岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)
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食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。