【第2弾】見直しはどこ?「令和5年度税制改正大綱」のポイントを解説します
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【5分で納得コラム】今回のテーマは「令和5年度税制改正大綱(法人税関係)の概要」についてです。
目次
1. はじめに
2022年12月23日に令和5年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回は、令和5年度税制改正大綱のうち、法人税に係る見直しのうちの主なものの概要をご紹介します。
2. 法人税に係る見直しのうちの主なものの概要
(1) オープンイノベーション促進税制の拡充及び要件の見直し
オープンイノベーション促進税制とは、国内の対象法人等が、オープンイノベーションを目的としてスタートアップ企業(特別新事業開拓事業者)の株式を取得する(特定事業活動として出資)場合、取得価額の25%を課税所得から控除することができる制度です。
この課税の特例について、今回の税制改正大綱で次の措置を講ずることとされました。要件 現行法
(現金払込みによる出資)改正案
(株式の購入)対象法人 国内対象法人又はその国内CVC 同左 行為 現金払い込みによる出資 発行法人以外の者から取得する株式の購入 出資/取得後の議決権割合 特になし 出資/取得後に議決権の過半数を有する事
(すでに議決権の過半数の株式を有している場合の出資は除く。)投資金額の上限と下限 【上限】
100億円(改正後:50億円)
【下限】
・出資する者が大企業:1億円以上
・出資する者が中小企業者:1,000万円以上
※だたし、出資される者が外国法人の場合は5億円以上【上限】
200億円
【下限】
5億円以上保有見積期間・
特定事業活動継続期間3年 5年 経済産業大臣の証明 必要 必要
(株式の取得時にスタートアップが営んでいた事業を引き続き営んでいること等の要件が追加)(2) 研究開発税制の見直し
研究開発税制とは、企業が研究開発を行っている場合に、法人税額から、試験研究費の額に税額控除割合を乗じた金額を控除できる制度です(ただし、法人税額に対する控除上限があります。)。
研究開発税制は、「一般試験研究費の額に係る税額控除制度(一般型)」、「中小企業技術基盤強化税制(中小企業型)」および「特別試験研究費の額に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)」の3つの制度によって構成されています。
①一般型について、控除率の見直し及び控除率の下限の引下げを行うとともに、試験研究費の増減割合に応じて税額控除の上限を変動させる制度(現行:25%→20%~30%)を設けるとのことです。
②中小企業型について、控除率の見直しが行われました。
③オープンイノベーション型について、対象となる特別試験研究費の額に、特別新事業開拓事業者との共同研究及び特別新事業開拓者への委託研究に係る試験研究費の額(税額控除率25%)及び一定の要件の全てを満たす試験研究に係る、「新規高度研究業務従事者」に対する人件費の額(税額控除率20%)が追加されるとのことです。
(3) DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制の見直しと延長
DX投資促進税制とは、DXに不可欠なクラウド技術を活用したデジタル関連投資について、税額控除または特別償却を行う税制措置です。DX投資促進税制の適用を受けられる対象者は、青色申告書を提出する法人で、産業競争力強化法にもとづく「事業適応計画」の認定事業者です。
このデジタルトランスフォーメーション投資促進税制について、次のとおり主務大臣の確認要件の見直しを行った上、その適用期限を2年延長するとされました(所得税についても同様。)。
今回の税制改正大綱で見直された内容 ① 生産性の向上又は新需要の開拓に関する要件を、売上高が10%以上増加することが見込まれることとの要件に見直す。 ② 取組類型に関する要件を、対象事業の海外売上高比率が一定割合以上となることが見込まれることとの要件に見直す。 なお、2023年4月1日前に認定の申請をした事業適応計画に従って同日以後に取得等をする資産については、本制度が適用されないとのことです。
(4) 中小企業者の軽減税率の延長
現状、中小企業者等の法人税率は所得が800万円以下の部分について軽減税率が適用されており、通常の19%よりも低い15%とされています。今回の改正では、この軽減税率の特例の適用期限が2年間延長され、2025年3月31日までに開始する事業年度まで適用可能となりました。
(5) 中小企業者向けの設備投資促進税制の見直しと延長
中小企業投資促進税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長するとされました(所得税についても同様。)。
今回の税制改正大綱で見直された内容 ① 対象資産から、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外。 ② 対象資産について、総トン数500 トン以上の船舶にあっては、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限定。 ③ 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象からコインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外。 (6) 暗号資産の期末時価評価等の課税に係る見直し
暗号資産の評価方法等について、次の見直しを行うとされました(次の②の見直しは、所得税についても同様。)。
今回の税制改正大綱で見直された内容 ① ① 法人が事業年度末において有する暗号資産のうち時価評価により評価損益を計上するものの範囲から、次の要件に該当する暗号資産を除外する。
イ 自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること。
ロ その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われているものであること。
(イ)他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。
(ロ)一定の要件を満たす信託の信託財産としていること。② 自己が発行した暗号資産について、その取得価額を発行に要した費用の額とする ③ 法人が暗号資産交換業者以外の者から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合において、その譲渡をした日の属する事業年度終了の時までにその暗号資産と種類を同じくする暗号資産の買戻しをしていないときは、その時においてその買戻しをしたものとみなして計算した損益相当額を計上する。 (7) 株式交付制度における所得計算の特例の見直し
株式等を対価とする株式の譲渡に係る所得の計算の特例について、対象から株式交付後に株式交付親会社が同族会社(非同族の同族会社を除く。)に該当する場合を除外するとされました(所得税についても同様。)。
なお、この改正は、2023年10 月1日以後に行われる株式交付について適用されるとのことです。財務省HP
・税制改正の概要
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html
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