従業員へ支給する特別手当の取り扱いについて

2020年6月10日

昨今、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛が行われている中、テレワーク等の勤務を続ける従業員に対し、「特別手当」を支給する企業があります。この「特別手当」の社会保険・雇用保険上の取り扱いについて、参考となる事例をご紹介いたします。

従業員へ支給する特別手当の取り扱いについて

【事例1】

現状支給する給与には影響しないものの、業績不振による資金不足のため将来的に定期昇給を実施できない可能性があるため、これを補填する目的で一度のみ支給する特別手当

<年金事務所の見解>

賃金台帳に記載される内容であり、従業員へ一律に支給する場合は、賞与として取り扱う。従業員への不利益が現存しているわけではなく、また、一律で支給している以上、恩恵的に支給したものとは言い難い。

<ハローワークの見解>

将来的に発生し得る労働に対する支給となることから、賃金に含まれる。

【事例2】

緊急事態宣言が発令され、在宅勤務の必要が出てきたことから、自宅での就業環境を整えてもらうことを目的に一度のみ支給する特別手当

<年金事務所の見解>

賃金台帳に記載される内容であり、従業員へ一律に支給する場合は、賞与として取り扱う。一度のみの支給であっても、今後の労働を維持するための賃金を形成するものであり、恩恵的に支給したものとは言い難い。ただし、特定の従業員に対し実費精算の方法で支給した場合は、賞与等にはあたらない。

<ハローワークの見解>

賃金台帳への記載があり、一度のみの支給であっても従業員一律に支給している場合には、賃金に含まれる。ただし、特定の従業員に対し実費精算の方法で支給した場合は、賃金に含めない。

これらの事例からは、

  • 一律で支給している場合は、賞与として認定される可能性が高い。
  • 賃金台帳に記載される場合は、報酬、賃金に含まれる可能性が高い。
  • 実費精算として支給した場合は、報酬、賃金に含まれない可能性が高い。

と整理できますが、年金事務所、ハローワークによって見解が異なる場合もありますので、懸念点がある場合には、管轄の年金事務所、ハローワークへご相談ください。

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SATO社会保険労務士法人

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