新型コロナウイルスの影響
~「雇用調整助成金」について~
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世界中に感染が拡大し、依然収束のめどが立たない新型コロナウイルス感染症ですが、厚生労働省は、コロナウィルスの影響で日中間の人の往来が急減し、事業活動が急激に縮小した事業所に対し、「雇用調整助成金」の特例を適用することを決定しました。
「雇用調整助成金」とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
今回影響を受ける事業主の例としては、中国人観光客の宿泊がなくなった旅館・ホテル、中国からのツアーがキャンセルとなった観光バス会社、中国向けツアーの取り扱いができなくなった旅行会社等が挙げられています。
適用条件
- ① 新型コロナウイルス感染症に伴う日中間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であること。
- ② 前年度又は直近1年間の中国(人)関係の売上高等が総売上高の一定割合(10%)以上であること。
適用条件を満たす場合、下記の通り、「雇用調整助成金」の特例が適用されます。
- 生産指標の確認対象期間は3ヶ月でしたが、直近1ヶ月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たすことになりました。
- 通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3ヶ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんでしたが、その要件が撤廃されます 。
- 事業所設置後1年未満の事業主についても対象とし、2020年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については生産指標を2019年12月の指標と比較し、中国(人)関係売上高等の割合は、事業所設置から初回の計画届前月までの実績で確認されます。
- 通常、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要ですが、2020年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、2020年3月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものと見做されることになりました。
特例対象期間
休業等の初日が2020年1月24日から2020年7月23日までのケースに適用されます。このほかにも、雇用保険適用事業所の事業主であることや、必要な書類等の整備・保管や管轄労働局等の実地調査受け入れなど、支給のための審査に協力することといった支給要件がありますが、改めて新型コロナウイルスの影響の大きさを実感させられる出来事であります。
【保護者の休暇取得支援助成金、雇用調整助成金のご案内】
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