収益認識に関する会計基準・同適用指針の公開草案からの変更点
2018年4月11日
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平成30年3月30日付で企業会計基準委員会より、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」および企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」が公表されました。
公開草案から文言の修正や例示の追加が行われたほか、以下の変更が追加されています。なお、下記は公開草案からのすべての変更点を網羅したものではないため、ご注意ください。 -
主な変更内容 ポイント 用語の定義に、原価回収基準が追加(第15項) ■「原価回収基準」とは、履行義務を充足する際に発生する費用のうち、回収することが見込まれる費用の金額で収益を認識する方法をいう。■工事進行基準などで工事進捗率を合理的に見積れない場合に、“少なくとも、かかった費用分だけは回収できる”といった場合に適用される■売上=売上原価となるため、売上総利益は計上されない適用時期等の経過措置に、消費税等の会計処理の変更の取扱いが明示(第89項) ■取引価格の算定(第三者のために回収する額は取引価格から除かれる)に関して、会計基準適用初年度に消費税等の会計処理を「税込」方式から「税抜」方式に変更した場合、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う■適用初年度の期首より前までに税込方式に従って消費税等が算入された固定資産等の取得原価から消費税等相当額を控除しないことができる -
主な変更内容 ポイント 重要性等に関する代替的な取扱いのその他の個別事項に、有償支給取引が追加(第104項) ■支給品を買い戻す義務を負っていない場合
当該支給品の消滅・・・認識する
当該支給品の譲渡に係る収益・・・認識しない■支給品を買い戻す義務を負っている場合
当該支給品の消滅・・・認識しない(※)
当該支給品の譲渡に係る収益・・・認識しない
(※)個別財務諸表においては、支給品の譲渡時に当該支給品の消滅を認識することができる(物理的な在庫管理の困難さに配慮した代替的な取扱い)代替的な取扱い等を設けなかった項目に、以下の項目を追加 売上高又は使用量に基づくロイヤルティ(第185項) (公開草案に対するコメント) ■海外における売上高又は使用量に基づくロイヤルティ等、収益額を算定する際に発生時の計算基礎の入手が実務上困難であり、継続して契約によりロイヤルティ収入を受け取る場合には、現金主義で収益計上したい
(適用指針での取扱い)
■現金主義で収益計上することは、一般的に比較可能性を損なわせる可能性があるため、代替的な取扱いを定めない(=現金主義での収益計上を認めない)顧客に付与するポイントに関する取引価格の配分(第186項) (公開草案に対するコメント) ■顧客に付与するポイントの会計処理について、履行義務として識別して独立販売価格の比率に基づく取引価格の配分を行うことの困難さから、代替的な取扱いを要望したい
(適用指針での取扱い)
以下を理由に代替的な取扱いを定めない
■現行実務でポイント引当金の計算で一定の見積計算を伴っており、必ずしも本適用指針に基づく処理の方がコストがかかるとはいえない■顧客との契約の観点で重要性が乏しい場合の代替的な取扱い(第93 項参照)を定めているため、実務における負担が軽減される可能性がある商品券等の発行の会計処理(第187項) (公開草案に対するコメント) ■一定期間経過後の一時点で負債の消滅を認識して収益を計上する現行実務の処理を容認してほしい
(適用指針での取扱い)
■商品券等の発行について、現行の実務における処理から会計処理が変わる可能性があるものの、本適用指針に基づく非行使部分の見積りについては、実務において著しく困難となるとの意見が聞かれていないため、代替的な取扱いを定めない(=現行実務の処理を容認しない)毎月の計量により確認した使用量に基づく収益認識(第188項) (公開草案に対するコメント) ■見積りの困難さから、計量の日から決算日までに生じた収益が翌月に計上される現行実務を容認してほしい(電気事業・ガス事業)
(適用指針での取扱い)
■見積りの困難性に係る評価が十分定まらず、代替的な取扱いの必要性について合意が形成されなかったため、今後、財務諸表作成者により、会計基準の定めに従った処理を行うことが実務上著しく困難である旨が改めて提起された場合には、別途の対応を図ることの要否を改めて判断する。
収益認識に関する会計基準
収益認識に関する会計基準の適用指針
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