社会保険適用拡大/助成金の要件拡大

2016年11月9日
平成28年10月1日から、社会保険の適用拡大が始まりました!

適用拡大の5つのポイント

  1. 週の所定労働時間が20 時間以上であること
  2. 賃金の月額が88,000 円以上であること
    ※残業代、通勤手当等は含めない
  3. 勤務期間が1 年以上見込まれること
    ※1 年の有期労働契約でも、更新の可能性があれば見込まれると判断します。
  4. 学生を適用除外すること
  5. 規模501 人以上の企業(特定適用事業所)を強制適用対象とすること

社会保険加入時のメリット・デメリット
今回パートタイマーの方が新たに社会保険に加入することになる場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

☆メリット☆

    【従業員】
  • 生活保障のための傷病手当金や出産手当金の受給ができるようになります。
  • 将来受取ることのできる年金は支払った保険料に応じて増額されます。
  • 遺族基礎年金は、要件を満たす配偶者もしくは子のみにしか支給されませんが、遺族厚生年金は要件を満たす配偶者、子、さらには父母、孫、祖父母も受取ることができます。
  • 障害基礎年金の対象は、障害等級1・2級のみですが、障害厚生年金の場合は、3 級の場合にも一時金が支給されます。
  • 現在国民健康保険、国民年金に加入している人は、保険料の半額を会社が負担するため、割安に加入することができる場合があります。
  【企業】
企業が多様な働き方を認めた場合には、
・従業員満足度UP!
・定着率UP!
さらには良い人材の確保にもつながります。

★デメリット★

    【従業員】
  • 扶養になっている人は自己負担の保険料の増加
  • 税扶養から外れる、または配偶者特別控除が減額、あるいは受けられなくなる可能性があります。
  • 家族手当の支給対象から外れる可能性があります。(配偶者の会社の規定を確認してください)
    【企業】
  • 事務手続きの増加
  • 法定福利費(社会保険料)の増加
  • 多様な働き方を認めない場合、離職率の増加
  • パート・アルバイトが保険料を支払わなくても済むように時間や日数を調整して働くと、同じ分量の仕事がこなせなくなり、人員不足に陥ることもあります。

助成金の要件が拡大しました!

改正・拡充された助成金
平成28 年8 月に要件が改正・拡充された2 つの助成金についてご紹介します。

〔1〕キャリアアップ助成金〔処遇改善コース〕
有期契約労働者等の基本給を 2%以上増額し、昇給させた場合に支給される助成金です。
助成額は下記の通りです。〔()内は中小企業以外の額です。〕
① 全ての賃金規定等を改定した場合
対象労働者10 人まで:10 万円(7.5 万円)~30 万円(20 万円)
11 人以上:1 人当たり3 万円(2 万円)
② 一部の賃金規定等を改定した場合
対象労働者10 人まで:5 万円(3.5 万円)~15 万円(10 万円)
11 人以上:1 人当たり1.5 万円

  要件等変更点

  1. 中小企業に対する加算措置
    中小企業が基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給した場合に上記助成額に加算されます。
  2. キャリアアップ計画書の提出期限緩和
    「取組実施日まで」に延長されています。
  3. 賃金規定等の運用期間の緩和
    新しい賃金規定の内容が、過去3 ヶ月間の賃金の実態から見て2%以上の増額があれば助成対象となります。
  4. 最低賃金との関係に係る要件緩和
    公表日~効力発生日の前日までに現在の賃金額を2%以上増額し、新しい最低賃金を上回れば良いことになりました。
  5. 〔例〕平成28 年新最低賃金額公示日:9 月1 日
    新最低賃金の効力発生日:10 月1 日
    9/1~9/30 までに現在の賃金額を2%以上増額し、新しい最低賃金額を上回れば助成対象となります。

〔2〕業務改善助成金
中小企業等の生産性向上支援と事業場内の最低賃金の引き上げを図るための助成金です。
今回の改正で「現行コース」と、「引き上げ額選択コース」の2 種類から選べるようになります。
また、生産性が一定以上伸びている企業様には助成率が増す「生産性要件」が加えられました。

  1. 現行コース
    対象としていた事業場内の最低賃金が800 円未満から1,000 円未満に変更となり、活用できる企業様数も増えるものと思います。
  2. 引き上げ額選択コース
    ① 事業場内の最低賃金が750 円未満の企業様からご利用いただけます。
    ② 設備投資等にかかった費用の7/10 を助成。
    ※生産性要件を満たせば、助成率3/4 にUP。また、「人材育成・教育訓練費」や「経営コンサルティング費」も助成対象です。
    ③ 企業全体での常時使用している労働者の数が30 人以下の場合は助成率3/4 となります。
    ※生産性要件を満たせば、助成率4/5 にUP。
    ④ 助成金上限は50 万円~200 万円です。
    過去にこの助成金を受けていても、要件を満たせば貰えます。
  3. 生産性要件について
    会社の決算書類から算出した総合計額を分子、雇用保険をかけている従業員数を分母にして計算した値を基に要件を判断します。





執筆陣紹介

SATO社会保険労務士法人
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