目次

DXマニュアル・最新版
人事・経理のための IT活用思考のマインドセット転換術

はじめに

企業を取り巻く環境は常に変化を続けており、柔軟かつ的確な対応が不可欠である。言うまでもなく、ビジネスの持続的成長にはデジタル技術を積極的に活用した新たな価値創造「DX:Digital Transformation」が重要になる。

企業の組織と活動を支えるコーポレート部門も例外ではない。人事部門であれば、デジタルを活用した上で次のようなテーマに対応していく必要がある。

  • ・ 人材流動化対策
  • ・ 変革の原動力となるイノベーティブ人材の確保・育成
  • ・ 人的資本経営の支援

また、経理部門であれば次のようなテーマが上げられると思う。

  • ・ FP&A機能の強化/データドリブン経営支援
  • ・ デジタルガバナンス/デジタル監査
  • ・ 変革の原動力となるデータ活用人材の確保・育成

一方で、多くの企業でDXの取り組みは決して順調とは言えない。非IT人材組織のコーポレート部門であれば尚更である。デジタル化とDXの違いを捉えていないために、DXの重要性は理解していても、具体的に何をすればいいのか手探り状態が実情のようだ。

本ページでは、「IT活用思考のマインドセット転換術」と題して、人事部門と経理部門でDXの推進に必要となるデジタル活用の勘所について解説する。先駆的にDXに取り組めている企業の共通傾向から見えてきた、非IT人材がDXを推進するための「DX思考」の勘所を取り上げ、どのような考え方をすればいいのか、どのような環境を整備すればいいのか、DXの秘訣をお伝えしたい。

DX時代における人事・経理部門の新たな価値創造に向けて、考え方を整理する一助になれば幸いだ。

人事・経理部門のDXとは?

最初に、企業の人事・経理部門を取り巻くDXの状況を整理する。そして、DXに取り組むべき課題を明らかにする。

なかなか進まないDX

まず、コーポレート部門(人事・経理)のDXの進捗状況を確認しておこう。 このグラフは、大手・中堅規模の企業を対象に弊社が独自で取ったアンケートの結果を集計したものだ。見てわかる通り、コーポレート部門のDXは道半ばの状態だ。検討中が58%、未着手が19%となっている。大手・中堅規模の企業であっても、コーポレート部門のIT活用の価値観については、未だ過渡期を抜け出せずにいることが分かる。

DXの取り組みは多岐に渡る

一方で人事・経理部門のDXの取り組みは多岐に渡っている。次の図は、各社のDXプロジェクトに出てきたキーワードを並べたものだ。

話題性の高さでは「ペーパーレス」「ハンコレス」「リモートワーク・モバイル対応」といったキーワードが数多く登場している。これは、新型コロナ禍や働き方改革への対応の一部と言えるだろう。 他に大企業で目立ったのは次のようなキーワードだ。

人事部門であれば、「人的資本経営の支援」や、そのための「人的資本の情報開示」の他、最近では「リスキリング支援」「人材流動化対策」など。経理部門であれば、「FP&A機能の強化/データドリブン経営」や、そのための「データ活用(ROIC経営)」の他、 最近では「次世代ファイナンス人財の確保」がある。

クラウドサービスの活用といった具体的なアクションも急速に増えている。クラウド市場には多くのサービスが登場しており、人事や経理など広範囲な業務に対して、個々の業務に特化したサービスが乱立する。ただ、業務要件が高度で複雑な大手・中堅規模の企業にとっては機能が不足していることも多い。そこで、大規模なコアシステムはそのままに、一部の業務で他のクラウドサービスと連携したいといった相談が増えている。

このように少しずつだが、コーポレート部門もDXに取り組んでいるという声が聞こえるようになってきている。

課題1:DXのつもりがDXになっていない

ところが、経営やマネジメントの方に伺うと少し様子が違っている。現場はDXに取り組んでいると言うが、実はその大半が従来の業務のデジタル化に過ぎないというのだ。 では、デジタル化とDX(Digital Transformation)は何が異なるのだろうか。じつは企業のIT活用には、次のように大きく3つのステップがある。これは、経済産業省がDXレポートで定義しているものだ。

デジタイゼーション」は、アナログなオペレーションをデジタル化するものだ。最近流行の「ペーパーレス」や「ハンコレス」などがこれに当たる。業務効率化やコスト削減が目的になるため、非合理的な業務フローを改善するが、業務プロセス自体は変化していない。

デジタライゼーション」は、デジタルを活用して業務プロセスを最適化していくものだ。例えば、部門や業務システムを跨いだ承認プロセスのスリム化を図るなど、フローではなくプロセスの合理性を追求しビジネスの最適化を図る。

この2つが従来の「デジタル化」の考え方であり、現状の延長線上でITを活用し業務生産性や品質を向上させることである。

これに対して、「DX」(Digital Transformation)は、デジタルを活用して業務プロセス・ビジネスプロセスの刷新を行い、新たな価値の創造を狙うものだ。なぜなら、企業を取り巻く環境は大きく変化を続けており、現状の延長線上ではこれから先は通用しなくなるからだ。

これまで、企業のコーポレート部門には守りの部分として安定した経営と組織運用の支援が求められてきた。しかし、ビジネスインパクトの大きなITの進化によって、コーポレート部門であっても、守りの改善・改革だけではビジネスセオリーの変化、市場競争のスピード感に応じた貢献(経営支援)ができなくなってきているのだ。

しかし、それがわかっていても多くの人事・経理部門のDXは、デジタイゼーション・デジタライゼーションで終わっているのが実状だ。

課題2:ほとんどの人事・経理部門にDX人材がいない

では、どうしてデジタル化止まりになってしまうのだろうか。

理由としてよく上がるのが「うちの人事・経理部にはDX人材がいないから」という声だ。職種の特性上、業務のエキスパート・法令のスペシャリストはいるが、もともとIT人材はいないからと言うことだ。

ところで、DX人材とはそもそもどんな人材なのだろうか?経済産業省ではDX人材を次のように定義している。業務に精通しながらデジタル活用や人事業務・経理業務の在り方、組織の在り方などをプロデュースできる人材は稀有な存在ではないだろうか?

解決の方向性は、DX思考を発揮すること

一方でDX人材はおろか、IT人材がいなくても、正しい方向に向けて的確にDXを推進しているコーポレート部門も存在する。冒頭のアンケートでは、巧拙の違いはあるものの約13%の企業が「プロジェクト体制で推進中」と回答している。

非IT人材の組織でありながら、どうして正しく取り組めるのだろうか。具体的に話を聞いてみると、次のようなDX思考の勘所をおさえていることが分かる。

  • 1. DX思考の勘所01:現場を変革の当事者にする
  • 2. DX思考の勘所02:IT活用の動機を逆転する
  • 3. DX思考の勘所03:DXのメインストリームを捉える

これは、業務担当者にデジタル技術を勉強させて、クロススキリングを強いた訳ではない。

勿論、各業務担当者のビジネスマインドをこれまでの常識(デジタル化)に縛られず、転換(DX)することは容易ではないが、ITの進化の潮流をうまく乗りこなすという観点を重視することで、新しいデジタル技術を上手に使うための勘所を押さえている訳だ。

では、このDX思考の3つの勘所について、具体的に解説していこう。

DX思考の勘所01:現場を変革の当事者にする

現場の人を変革の当事者にする」とはどういうことか?それは、同じデジタル化の取り組みでも、そのプロジェクトのゴール設計とKPIを見誤らないようにするということだ。

現場の人が変革の当事者になっていないと何が起こるのか

DX本来の目的は新たな価値の創造なのに、結果的に「ただITシステムを導入すればいい」「言われたとおりに業務を変更すればいい」という認識にすり替わっているケースが多い。これは、経営の期待しているIT活用の目的・ゴールを現場と経営がしっかりと共有していないからだ。

冒頭でも紹介したアンケートにおいて、DXを推進するリーダーに自社のDXプロジェクトの課題を聞いたところ、次のようなコメントが多く登場した。

  • ・ロードマップの各段階の重要性を理解できる人が少ない
  • ・ 属人的業務を部門価値にしてきた人が、変わることに否定的
  • ・ 固定思考の人が、強力な抵抗勢力になっている
  • ・ 説明をしても『で、どうすれば良いの?』と自分で考えずに聞いてくる

つまり、業務を変革すべき人たちが自部門の変革に対して受け身になっているのだ。当然、このままでは時代に併せて変化していくことは簡単ではないだろう。

ゴールと主要な成果を明文化するOKR

では、どうやって現場の人を「変革の当事者」にしているのだろうか。いろいろな手法があるが、ここでは以前より注目されているOKRというフレームワークを紹介する。

OKRは、組織や個人が目指すべき目標を明確にして、その達成度を定量的に測ることで、高いパフォーマンスを引き出そうとする手法である。元インテルCEOのアンドルー・グローヴが1970年代に導入した昔からあるマネジメント手法だ。「目標」(Objectives)ひとつに対して、3個から5個程度の複数の「主要な成果」(key results)を割り当てる。そして、この「主要な成果」を実現するためのアクション、KPIを紐付けるのだ。

OKRは、以下のような特徴を持っている。

  • ・ 目標は、具体的で挑戦的なものであるべきである。組織や個人のミッションやビジョンに沿って設定される。単に業務をこなすだけではなく、成長や変革を促すものであるべきだ。
  • ・ 主要な成果は、目標を達成するための必要条件だ。そして、その条件を達成するために必要なアクションとそのアクションの評価指標がKPIになる。
  • ・ OKRはSMART(明確:Specific、測定可能:Measurable、達成可能:Achievable、自分と関連がある:Relevant、期限付き:Time-bound)な基準に従って設定される。そして定期的にレビューされ、必要に応じて修正される。
  • ・ OKRはトップダウンとボトムアップの両方から設定される。組織全体のOKRがトップダウンで決められた後、各部門や個人が自分たちのOKRをボトムアップで提案する。これにより、組織の方向性と個人の自主性がバランスよく保つことができる。
  • ・ OKRはオープンで透明なものだ。組織内のすべてのメンバーが互いのOKRを閲覧できるようにすることで、コミュニケーションやコラボレーションを促進して、組織全体の一体感を高めることができる。

一見すると、従来から広く採用されてきた個人目標管理(MBO:Management by Objectives)と似ているようにも見える。ただし、MBOは、人事評価を目的にしているのに対して、OKRは生産性の向上を目的にしている点が大きな違いだ。

人事・経理DXにおけるOKR

では、人事・経理部門のDXプロジェクトにおいてOKRをどのように適用すればいいのだろうか。
これは次のようなケースを考えることができる。

  • ・ 全社でのDXがあらかじめ定義してあり、その一部として人事の施策を考える場合
  • ・ 全社でのDXは特になく、人事部門・経理部門独自のDXを考える場合

どちらの場合も、部門としての新たな価値を目標として企画者や推進リーダーがゴールと主要な成果を明文化し、経営と現場で共有する。そして、それを具体的なアクションとKPIへとブレイクダウンするのだ。

なお、OKRの例として、次のような主要な成果が考えられるだろう。

  • ・ 業務システム:新しいテクノロジーやトレンドを取り入れられる
  • ・ 働き方:定型的・反復性の高い業務は全て自動化されている
  • ・ 部門役割:データ分析部門になっている
  • ・ 部門責任者:経営戦略立案に参画し、経営資源のスクラップ&ビルドを判断している

DXプロジェクトのゴールとして、ペーパーレス化や自動化、コスト〇%削減、業務時間〇%削減といったものをよく見かけるが、これらは、主要な成果に向けたアクションに対するKPI(定量的な達成基準)にするのが正解だろう。それぞれの具体数値などは、各社の状況に合わせて検討して欲しい。

また、経営資源のスクラップ&ビルドについては、人事部門であれば人的資源に対して、経理部門であればそこにファイナンスの視点を取り込んで、投資・撤退の対象を抽出することや、シミュレーションになる。当然、もう一つの主要な成果である「データ分析部門になっている」を実現していることが前提になっている。

DXのテーマ

次の図は、先陣企業各社の人事DXをテーマ別に整理した表だ。この例を見るとジタル化とDXの違いがある程度把握できると思う。たとえばペーパーレス化により60時間かかっていた作業を1時間に短縮できれば、業務としては大きな効率化を実現できたことになるが、それは組織マネジメントの一環であり、常日頃から取り組むべき生産性向上であることがわかる。つまり、新たな価値を生み出すDXではないのだ。短縮できた59時間で付加価値の高い業務に取り組めるという声もあるが、ではどのような付加価値をそこから具体的に設計しているだろうか。

DXは、まさにその付加価値の高い業務を「具体化する」ことに相当する。

同様に、次の図は経理DXを整理したものだ。

共通していることは、これらのアクションを守りのIT投資と攻めのIT投資に分類できることだ。

  • 守りのIT投資:業務効率化や法令改正対応など既存業務を維持するために行うIT投資
  • 攻めのIT投資:新しいビジネスモデルや価値の創出、競争力向上を目的としたIT投資

例えば、人事部門のIT投資であれば、ペーパーレス化やRPA活用などのデジタル化は「守りのIT投資」に当たる。また、関心が高まりつつある「人的資本の可視化」もデータ活用の基盤整備にあたるため「守りのIT投資」になる。そして、経営戦略と同義に位置付けた人材戦略(人的資本経営)の成果をモニタリングし、次の意思決定に繋げるデータ活用基盤が「攻めのIT投資」となる。

経理部門もペーパーレス化やRPA活用などのデジタル化は「守りのIT投資」に当たる。また、「会計処理の共通化・標準化」や「決算早期化」などもデータ活用の基盤整備にあたるため「守りのIT投資」になる。そして、経営戦略と同義に位置付けた人材戦略において、経理部門の場合は次世代型経理パーソンの確保や、各部門向けにモニタリングできる環境を整備し、次の意思決定に繋げるデータ活用基盤の構築・運用が「攻めのIT投資」になる。

そして、これらのアクションを整理してわかるのは、守りのIT投資と攻めのIT投資には連続性があるということだ。ジョブ型雇用制度の採用やデジタル民主化に向けたDX人材の育成も人的資本の可視化といった「守りのIT投資」から連続した「攻めのIT投資」になっている。または、経営戦略に直結したリスキリングやROIC経営支援のためのデータの民主化なら、技術的負債の解消やデータ活用基盤の整備といった「守りのIT投資」から連続した「攻めのIT投資」になる。

このように分類することで、IT投資の目的が守り(デジタル化)なのか、攻め(DX)なのか、その優先順位なども考慮しやすくなるのがわかる。

DX関連予算の比率

ITRの「IT投資動向調査2023」によると、IT予算の内、DX関連予算を計上している企業は約半数になるが、IT予算全体に対するDX関連予算の比率は実は2割程度でしかない。業種別にみてもその違いはない。つまり、日本企業の守りと攻めのIT投資額の比率は8:2と言うことだ が、なぜここまで攻めに消極的になるのだろうか。

IT投資の多くは、既存システムのメンテナンスやセキュリティ対策、コスト削減といった守りに大半を費やしているのが実情だ。更に人事や経理業務関連になれば、法改正対応が優先されるため、攻めに予算を投下する機会はもっと小さくなる。

ただし、割合よりも重要なのは、攻めと守りでアクションの違いを明確化できている企業と、そうでない企業があることだ。予算化の段階からIT投資の目的(ゴール)を明確にしていれば、後から「DXのつもりがDXになっていない」ということも起こらない。この差が、DXで成果を出す企業とデジタル化止まりの企業で明暗を分けることになる。つまり、計画段階からすでにDXになっていない場合があるということだ。

だからこそ、目的を明文化して計画を立て、「現場の人を変革の当事者にする」ことが重要なのだ。

DX思考の勘所02:IT活用の動機を逆転する

2つ目の勘所は、DXの背景に由来したものだ。それはクラウド起点で「IT活用の動機を逆転させている」ということ。デジタル技術の発展により、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しており、新たなスピード感に対応するためには従来とは違うIT活用思考が求められる。それが「IT活用動機の逆転」だ。

ビジネスありきからITありきへ

DXを正しく推進できている人事部や経理部を見ると、業務担当者であっても、IT活用の動機が逆転していることがわかる。IT活用の動機とは、ITを活用する目的であり、従来はビジネスありきで考え、ビジネス上の課題解決や戦略遂行の手段に位置付けられていた。しかし、ITの進化と市場ニーズの変化スピードが速い現代においては、ITを起点にビジネスや業務のカタチを発想していく方が合理的と考えられている。

なぜならば、テクノロジーの進化の圧倒的なスピード感によって、これまでシステム対応が上手くいかなかった処理(情報の可視化・分析・共有、オペレーションの自動化)に対しても、簡単にできるアプリケーションが次々と登場しているからだ。しかもそれらは、ユーザー視点で開発されているため、ITに詳しくない業務担当者でも「こんなに簡単にできるなら、我々も取り入れて、新たな社内向けサービスを展開しよう」という発想が自然に生まれてくるのである。これがビジネスありきからITありきへの逆転であり、実はDXの基本的な思考ロジックでもある。DXは作るのではなく、使ってコトを起こすものだからだ。

そして、このような逆転現象を生み出した背景にあるのが、クラウドビジネスが生み出したIT活用の「3つの価値観」だ。

  • 1. クラウド・バイ・デフォルト
  • 2. クラウド・スマート
  • 3. ベスト・オブ・ブリード

これらの価値観を理解することで、IT活用動機を逆転することの有効性がもっとわかると思う。

価値観1:クラウド・バイ・デフォルト

クラウド・バイ・デフォルトとは、日本政府の「ガバメント・クラウド実行計画」に定める、政府情報システム化においてクラウド活用を第一候補とする基本方針「クラウド・バイ・デフォルト原則」から出てきたキーワードだ。これは大きく遅れを取っている日本のデジタル化事情を背景に、情報システム整備の迅速化や柔軟なリソース増減によるコスト削減、ロケーションに縛られない持続性の高いシステム環境など、クラウド技術の有益性の高さからシステム化の実現手段の第一候補(デフォルト)はクラウドで検討する方が合理的という考え方だ。

新型コロナ禍において、例えば店舗運営からクラウドサービスを活用してデリバリーモデルにシフトしたことで、短期間でビジネスモデルを変え、結果的に成長にも繋げることができた企業のニュースなどが、わかりやすい例だろう。リモートワーク対応などでも、対応力のある企業とない企業で生産性に大きな差がついた話も多い。

価値観2:クラウド・スマート

先述の「政府情報システムにおけるクラウドサービス の利用に係る基本方針」は、2018 年6月に初版決定されたが、その後、2022年12月に改訂されている。この改定で興味深いのは、初版に対する反省点を踏まえて新たに登場したキーワード「スマート」だ。改訂理由は「(初版は)クラウド・バイ・デフォルト原則に基づき政府情報システムのオンプレミスからクラウドへの移行を促すものであった。この方針に基づいて多くの政府情報システムがクラウドに移行されたが、一方でクラウドへの移行そのものが目的化されてしまい、必ずしもクラウドサービスの利用メリットを十分に享受できていないといった例も散見された。こうした状況を踏まえ、本方針では政府情報システムが単にクラウドに移行するだけではなく、クラウドの利用メリットを十分に得られるようにするため、政府情報システムがスマートにクラウドを利用するための考え方を示す。」と述べている。

「スマート」の定義や解釈は人によって変わると思われるが、1つにはこれまでに紹介した「当事者意識の醸成」と「活用動機の逆転」に通ずる「目的」の持ち方であることがわかる。また「スマート」の定義を「合理的」とすれば、先の「クラウド・バイ・デフォルト」にも通ずるだろう。

そして、より具体的なスマートの例としてはサブスクリプションのようにアプリケーションの提供モデルを所有から利用に変えたSaaS市場がある。

次の図は、2021年に登場していたバックオフィス向けクラウドサービス(SaaS)のロゴを集めた、お馴染みのカオスマップだ。そして、一見してわかるとおり、働き方改革やコロナ禍を背景に、ほんの数年でバックオフィス向けだけでもこれだけのクラウドサービスが市場に登場しているのだ。

これらのクラウドサービスには、次のようなメリットがあると言われている。

  • ・ IT戦略は「作る」から「選ぶ」へ
  • ・ すぐに使える/嫌なら他に切り替える
  • ・ 必要なだけ従量性で利用

これまでは新たなシステムを導入しようとなると、社内インフラとの兼ね合いや導入作業などでIT部門との調整に多くの時間と手間がかかった。しかも、一度導入したら当面は利用を止めることはできない。しかし、クラウドサービスなら多くの選択肢の中から業務担当者が業務視点で使いたいもの選び、利用できるようになる。所有するわけではないので、他にもっと適当なサービスが出てきたら乗り換えることもできる。また、社内のインフラやIT部門のリソースといった制約もない。つまり、人事・経理部門のIT戦略の主幹はそれぞれの部門になるということだ。これが変革のスピードアップやIT人材不足の解消にも繋がる。

価値観3:ベスト・オブ・ブリード

クラウドサービスの活用を優先することで、システム構成の考え方も統合型から、協調・複合型のいわゆる「ベスト・オブ・ブリード」が現実になってきた。

従来の業務システムは統合型が求められていた。これは、大きな一枚岩のようなITシステムを活用するものだ。人事のシステムであれば、人事管理や給与計算といったコアな機能の他に、労務管理や申請、育成やコミュニケーションなどの周辺業務やフロント業務も装備されている。経理のシステムであれば、資金管理や決算処理といったコアな機能の他に、債券・債務の管理や固定資産・リース管理、手形管理、経費精算や電子帳簿保存などのフロント業務も装備されている。

更に統合型ERPパッケージであれば、人事も経理も1つのモジュールとして基幹系システムに組み込まれている。そのため、データベースが統合されていることでデータ活用のメリットは高いが、多種多様な業務の中で、一部分だけトレンドに対応して入れ替えることは容易ではない。つまり、統合のスケールが大きければ大きいほど、システムの都合によって業務の変化に対する柔軟性を欠くことになる。

しかし、SaaS市場のカオスマップのように、業務単体でみればすぐにでも使いたいアプリケーションもきっとあるはずだ。その時に統合型システムユーザーはそれを気軽に利用できないが、すでにクラウドシフトが完了したユーザーであれば、クラウドがもたらすITの恩恵をいち早く享受することになる。クラウドサービス間で機能の呼出しやデータの受け渡しが容易になれば、業務や目的ごとに最適なクラウドサービスを選択して、既存のシステムと協調させて、柔軟性の高い業務フレームワークへと進化させることができるのだ。

このように、OSやミドルウェア・アプリケーションを統合するための「システムインテグレ―ション」に対して、APIを使って複数のサービスを協調動作させる「APIインテグレーションまたはクラウドインテグレーション」によって、新しいセオリーやトレンドに柔軟に追随する考え方が「ベスト・オブ・ブリード」だ。そして、この柔軟性を確保することが変化の速いビジネスシーンにおける、経営基盤や業務基盤の持続性に繋がるのだ。

協調・複合による効果は

ベスト・オブ・ブリードのメリットはIT活用の柔軟性だけではない。次の図は人事業務と経理業務をまとめた表だ。そもそも、それぞれの業務の範囲は多岐に渡る。そして、それぞれに特性があり、その特性に応じた業務プロセスがある。更に、法令改正によってそのプロセスを見直すこともしばしばで、恒久的なシステム活用は本来、ありえない。

それだけに、そのときに抱えている業務課題、部門課題も考慮し、何をなすべきか、どこを重視すべきかで、IT活用のアプローチも柔軟でなければならない。しかし、統合型のシステムでは一部の業務だけ、システムを入れ替えることは容易でない。ベンダーから対応モジュールが提供されるのを待っても、必ずしもそれが自分たちの要件に合致するとも限らない。最悪の場合、新たにサブシステムを自社開発するということも珍しくないだろう。そうなると、便利になる人がいる反面、不便になる人もいて、統合型システムの利便性は一長一短だというのが実状だった。

しかし、協調・複合型でクラウドサービスを容易に組み合わせるベスト・オブ・ブリードのアプローチになると様子が変わってくる。必要なクラウドサービスを選択して、データをAPIで繋ぎ、オペレーションをRPAで繋げば、個別のアプリケーションの複合体であっても、自分たちの目的にちょうどいい条件が揃い、いわば十全な成果を目指せるのだ。

こうした価値観の変化が、革新を合理的に進める上で有効なDX思考の勘所になるのだ。

DX思考の勘所03:DXのメインストリームを捉える

3番目の勘所は、ビジネスセオリーの変化に対応するための考え方だ。それは「DXのメインストリーム(革新の潮流)を捉える」こと。 デジタル技術そのものが圧倒的なスピードで進化するのと並行して、ビジネスを取り巻く環境、ビジネスの在り方、それを支える人事・経理部門の業務の進め方も大きく変化していく。ChatGPTに代表される生成AIの登場も記憶に新しいだろう。 このような新たな技術の登場が、さらに別の価値創造を可能にする一方で、新しい課題が顕在化する場合もあるだろう。だからこそ、DXに取り組むときには、目先の取り組みだけでなく、一歩先を見据えた次の一手につながる準備の並走も重要になる。

自動化技術と知的ITの進化に着目

では、どのような並走がありえるだろうか。DXに正しく取り組めている人事部や経理部はDXのメインストリームを見極め、自社や自部門にとってロスのないIT投資にするために、2つの進化に着目している。

それがビジネスシーンにおける「自動化」と「知的IT」の進化だ。

たとえば、多くの企業が利用するようになった「RPA」(Robotic Process Automation)は、AI技術と組み合わせることで、この先、非定型業務や非構造化データにも対応できるようになるだろう。さらに分析や改善・意思決定にも利用できる可能性としている。

経営情報を可視化する「BI」(Business Intelligence)は、過去から現在の状況の可視化から、より大量のデータを活用し、ビジネス課題解決ロジックに基づき、客観性のある意思決定を促す分析ツールへと進化する可能性がある。

人事部・経理部もビジネスプロセスマネジメントが必要になる

では、こうした技術の進化を取り入れていく時、どのような対応が必要になるだろうか。 様々な対応が考えられるが、中でも重要なのがビジネスプロセスマネジメント(BPM)だろう。

業務特性の多様性が高ければ、数多くのITサービスを取り入れることになり、結果として業務プロセスは人とITが混在することになる。すると、自動化によるオペレーションのブラックボックス化も生まれ、統制が難しくなる。更にプロセスの一部に変更を加えると、どこにどんな効果や影響がでるのかも把握しづらくなるので、PDCAが回らなくなるといった課題も出てくる。 そこで、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)を再整備・強化して、効率化だけでなく、高難度のIT統制やPDCAにも配慮することを同時に計画することが重要になってくるのだ。

もし、現状が個々の業務フローの管理で終わっているのであれば、早めにビジネスプロセスマネジメントの仕組みを見直し、この先も続く変化に備えておきたい。

直近のアクション

次に、ITの進化を見据えたときにアクションプランはどうなるだろうか。それは正しくDXに取り組めている人事・経理部門の直近のアクションプランをみれば、メインストリームを捉えているということがわかる。傾向としては各社とも概ね、次のように大きく3つのステップがあり、まずはこれらの取り組みを、2025年を目標に取り組んでいるようだ。

  • 1. コア部分を含めてクラウドシフトを進める
  • 2. ビジネスプロセスオートメーションで自動化を進める
  • 3. 統制がかかり、PDCAを回せる状態にする
人事部門
経理部門

こうした取り組みを進める企業では、各現場の業務担当者から「クラウドシフトが一番大変だけど、クラウドシフトしないとDXのスタート地点に立てない」といった声が聞こえてくる。DXメインストリームを捉え、この先も継続してITの進化による恩恵を享受することを意識できているからだろう。

コーポレート部門のDX・取り組み内容

ただし、このようなアクションプランを持っている人事・経理部門はまだ少数で、多くが大変なことを後回しにしている傾向が見て取れる。コアシステムのクラウドシフトが最大のネックになっており、乱立するカスタマイズやサブシステムに手が付けられないのだ。当社のアンケートでも、コーポレート部門のDXの取り組みテーマは、次のようになっている。

見てのとおり、「ペーパーレス/ハンコレス」がもっとも多く、その次が「システム連携」となっている。先の直近のアクションプランで上がっていた「クラウドシフト」は12%程度だ。フロント系の個別に切り離せる業務はクラウド活用が進むが、コストや実業務への影響範囲が大きいコアシステムは容易にいじれないといった各社の事情も絡んでいるからだろう。

技術的負債問題

先のアンケート結果も裏付けているが、ここ数年は「技術的負債」や「システムのレガシー化」という課題の深刻さが増している。これは、単に老朽化したシステム環境を指している訳ではなく、時間と共にメンテナンスできる人や仕組みが無くなっていくことで、現状維持だけでも厖大なコストと時間が必要になった状態を指す。つまり、ITの進化やビジネスセオリーの変遷に追随するためのIT投資が困難な状態を指しているのだ。日本企業のIT投資額の大半が、攻めのIT投資ではなく守りのIT投資になっているのも技術的負債によるところが大きい。そして、このような状況になることを「2025年の崖から落ちた状態」とし、国も警鐘を鳴らしているのだ。

ここ最近の技術的負債問題には、新たに次のようなケースが増え始めている。

例えば、人事管理や給与計算、財務会計や管理会計といったコアシステムはレガシーなまま、周辺業務はクラウドサービスを活用し、目先のペーパーレス化やモバイル対応を安直に進めてしまったケースだ。その結果、特に従業員の多い企業はデータ量が大量になるため、人手を介すオペレーションを無くすためにデータ連携の仕組みを新たに構築している。

一見すると先進的な取り組みに見えるが、レガシーな状態で温存したコアシステムは、維持コストや無駄なオペレーション、処理時間やセキュリティ対策など、老朽化による様々な問題はこの先もしばらくは抱えていかなければならない。なぜなら、コアシステムを見直せば、構築したデータ連携の仕組みが無駄になる可能性が高い上に、場合によっては作り直しもあり得る。更に、せっかく運用が定着したクラウドサービスそのものも見直さないといけなくなるかもしれないからだ。結局、コアシステムを変えたくても温存せざるを得ない状態に陥っており、この先もこのリスキーな状態を維持するために、コストと手間をかけていかなくてはならない。

つまり、DXのメインストリームを捉えるということは、IT投資の計画を立てるためだけではなく、技術的負債を生まず、継続的な変化を可能にするためにも、どこから、いつ、IT革新をしかけるのが良いか、アクションプランに合理性をもたらすことでもあるのだ。

DX思考を発揮したDXの具体例

ここまでで、DX人材がいなくてもDX思考を発揮するための勘所を3つ紹介してきた。

  • 1. 現場の人を変革の当事者にする
  • 2. IT活用の動機を逆転する
  • 3. DXのメインストリームを捉える

この勘所をおさえた状態を、身近な具体例で紹介しよう。

人事部門:入社手続きをスマホ対応にすると

ここで取り上げるのは、労務申請系のHR-Techを活用したシーン。コロナ禍やペーパーレス化を背景に、入社手続きの紙を止めて、スマートフォンのセルフ入力に切り替え、リモートワークやペーパーレス化を促進させた例だ。

しかし、新たな業務も発生する。人事担当者は、HR-Techに入力されたデータをチェックする必要がある。入力内容に不備があれば、再入力を個別に依頼しなければならない。また、人事給与システムへのデータの転記操作も必要になる。HR-Techの導入によってペーパーレス化は図れたが、“HR-Tech”のためのオペレーションが新たに増えているのだ。つまり、入社手続書類の受領フローはデジタル化したが、その後の関係機関への届出業務なども含めた「入社手続きプロセス」は、かえって煩雑になってしまったという、よくある失敗例だ。

解決例

一方、DX思考を発揮している人事部門は、同様の問題が発生していない。なぜならば、HR-Techによって発生した煩雑な業務を新たにBPO(業務アウトソーサー)に任せたからだ。

BPO先では、HR-Techの入力データのチェックや不備に対する再入力依頼を行う。更に人事給与システムへのデータ登録は、リモートアクセスやデータ連携の仕組みで実施するほか、資格取得届など関係機関への届け出業務までも一貫しておこなっている。

なぜ、BPOを新たに投入する判断ができたのか?これは、この人事部はHR-Tech導入プロジェクトのゴールが「ペーパーレス化」でも「HR-Tech利用すること」でもなく、あくまでも「採用業務の自動化」だったからだ。更に言えば、自動化することで次の目的として、新たな攻めの業務も計画されていた。そのため、必要な一手としてBPOも採用したのだ。

また、この体制で良いところは、今後、BPOに任せている処理も自動でできるような賢いHR-Techが登場したら、すぐにそちらに切り替えることも、いつまでたっても賢いHR-Techが登場しないなら、すべてをBPOに任せるといった判断もできることだ。つまり、変革の選択肢が広がっているのだ。

一部の業務フローだけデジタル化するのではなく、入社手続き業務をプロセスごと自動化したことで実現した好例だろう。そして、本来の目的を見誤ることもなく、IT活用の動機を逆転し、複合的なアプローチで臨んだ結果なのだ。これが「デジタル化」と「DX」の違いだ。同じHR-Tecを使っても、デジタル化で終わる人事部とDXを推進できる人事部の差だ。

コチラの図は、中小企業向けのクラウド会計サービス「freee」とその他のクラウドサービスとの連携図である。見てわかる通り、様々な経理関連クラウドサービスと連携が可能だ。freee自体にもいろいろな機能が備わっており、オールインワンの仕組みとして活用できている企業も多いと思うが、必ずしも全ての機能が自社にフィットする訳ではない。そこで、ある部分については他のクラウドサービスに置き換えて業務を回せるようにしているのだ。

勿論、これはビジネススケール的にも小回りのきく中小企業市場だからこそ、実現していることだ。大手企業であれば、より高難度で大量の情報を扱う業務に対応しているため、コアシステムの仕様は複雑さを極め、システム連携は容易ではない。ただし、最近ではコアな領域でも大手・中堅企業むけにクラウドネイティブなサービスが徐々に登場し始めており、今後、ユーザー側のクラウドシフトが進むことで、大手・中堅企業のエンタープライズ市場であっても、便利なものを選択して繋げて使うという価値観がスタンダードになるだろう。

そうなれば、業務効率化のためとは言え、データ連携に過剰な開発投資することも、業務システム側の仕様変更の度に、連携処理を自動化していたRPAのスクリプトをいちいちアップデートする必要もなくなる。

つまり、変化に無理なく対応し続けることが可能になる。これが「デジタル化」と「DX」の違いだ。その企業にIT人材がいようがいまいが、同じクラウドサービスを使っていたとしても、デジタル化で終るコーポレート部門とDXを推進できるコーポレート部門の差なのだ。

DX思考を継続する条件

最後に、DX思考を醸成しそれを活かすために必要な条件についても触れておきたい。言い換えれば、この先も人事部門が変革し続けることを可能にするために、ここまでにご紹介したDX思考の勘所を無理なく発揮できるシステム環境とはどんな環境なのか、主な条件を上げてみる。

条件1)変化し続けることを前提にすること

当然ではあるが、先ず必要な条件は変化し続けることを前提にしたシステム環境であることだ。どんなに高度なテクノロジーを利用していても、ITの進化と業務のトレンドによって、その価値はすぐに不要になることがあり得るからだ。しかもそのスピードが速く、その変化に合わせて求められる部門価値も変わっていくとなると、システム環境がビジネスの変化の障壁になることは、これからの時代はナンセンスである。

条件2)ベンダーロックインを回避すること

従来の統合システムの利点は、データの一元化やサポートの一貫性があげられた。しかし、その代償としてIT革新の機会がその製品ブランドやベンダーの開発力に依存してしまっていた。

しかし、これからの時代に求められる変化には複数のベンダーやブランドをまたいだIT活用が避けられない。ユーザーが主体になってITを活用していく「デジタルの民主化」が重要かつ不可欠なのだ。他ブランドの業務アプリやITツールとの連携ができずに、ITの恩恵を享受する機会を逸失するような「ベンダーロックイン」された環境は避けた方が良いだろう。

条件3)小さく素早く試してみること

もう一つ、合理的にDXを推進する上で有効なことは、小さく試してみることだ。いきなり大きな施策に取り組もうとしても、なかなかうまくいかないことが多い。一方、革新対象のスコープを小さくすれば、それが役に立ちそうか素早く判定できる。思惑どおりでなければ、方向修正の判断も容易だ。そして、その価値観に応える形でSaaS市場は発展したのだ。また、これはシステム化だけの話ではない。たとえば、OKRのようなマネジメントフレームワークも同様だ。いきなり全社に導入する必要はなく、例えば、自部門の中でテスト運用からスタートしても良いだろう。

DX思考の勘所から始める

冒頭でも触れたが、DX成功の鍵が「人材」だという声は非常に多い。ただし、それはAIエンジニアやデータサイエンティストといったITスキルのことではない。デジタル化をDXに変えるIT活用思考をもった人材「DX人材」のことだ。IT進化のインパクトを受けやすく、業務要件の変化が激しく、経営支援に直結している人事・経理部門など、非IT人材の組織にこそ求められる。

もちろんITの知識が全く不要ということではない。更に言えば、より専門性の高い業務知識や自社のビジネスポートフォリオにもとづくマーケティングの知識も持っていることが望ましいが、そのようなバランスした人材は稀である。だからこそ、今いる人材がIT活用を「モノの利用」から「コトを起こすための活用」へマインドシフトすることが重要であり、それが多くのコーポレート部門で起きているDX人材不足問題の対策にも繋がるだろう。

ご紹介したDX思考の勘所が「DXのつもりがDXになっていない」という状態に終止符を打ち、この先も経営に貢献し続ける人事・経理部門に変わるための参考になれば幸いだ。

コーポレート部門(経理・人事)
のためのDXフレームワーク
つながる。
エンタープライズクラウド
・ジームクラウド

エンタープライズ市場のコーポレート部門(人事・経理)は未だ、レガシーなシステム環境によってIT投資は業務効率化のためのデジタル化に留まっています。

ジームクラウドは大手から中堅規模の企業スケールに対応した、SaaS型業務システムです。BCPやシステム管理業務の効率化だけでなく、マイクロサービス思考でITの恩恵を享受できるクラウド業務基盤を提供し、コーポレート部門のDXを支援します。

制作:
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