【ナレッジセンター】
平成27年・28年の税制改正による要件緩和の効果大!
~スキャナ保存制度・国税庁の承認件数が7倍に~
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国税庁は平成29年10月13日に平成28年度の「電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況」を公表しました。本統計情報によると、税務署へのスキャナ保存申請件数は、平成27年度・28年度の2年間で急増し、累計承認件数も平成26年度末時点で152件だったものが、平成28年度末時点で1050件に拡大しています。実に2年間でスキャナ保存制度対応に取り組む企業が7倍に拡大したことがわかります。
- 税務署へのスキャナ保存 年間申請件数と累計承認件数
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急増の要因①:要件緩和
要因としては、平成27年度・28年度の税制改正により、スキャナ保存制度に関する大幅な要件緩和があったことが考えられます。具体的な緩和事項としては、実印相当の電子署名廃止や、3万円未満に限る金額制限の撤廃、スマートフォンによる立替領収書の記録容認などがあります。
中でも、領収書等の電子化についは、特定のスキャナーに電子化の機器が限定されていたのに対し、デジタルカメラやスマートフォンなどで撮影したデータも認められるようになったことが、本制度対応を検討する上で、実現性を高める要因になったと考えられます。年度 規制緩和の経緯 平成10年 電子帳簿保存法施行 平成17年 e-文書法に伴いスキャナ保存対応を可能に 平成23年 スキャナ保存制度、要件緩和の検討開始が閣議決定 平成27年 電子帳簿保存法 改正・金額上限(3万円)の撤廃・白黒(グレースケール)での保存が可能に・電子署名付与の撤廃(個々人の電子証明書の取得が不要)・電子署名付与の撤廃に代わり、事務処理規程を制定平成28年 電子帳簿保存法 改正・スキャナ機器の「原稿台と一体型に限る」という要件を廃止(スマートフォンのカメラ等も利用可能になる)・領収書や請求書等の読み取りに関する要件として、受領後3日以内のタイムスタンプ付与が必要となる・A4以下の書類は、大きさに関する情報の保存を不要に・適正事務処理の緩和、小規模企業者(小さな会社や個人事業主)は、税理士の定期的なチェックを受ける体制を整えることで、受領と入力を同一人物で行うことが認められる -
急増の要因②:働き方改革
一億総活躍社会の実現に向けた「働き方改革」では、同一労働同一賃金や柔軟な働き方がしやすい環境整備とともに、「長時間労働の是正」を重要な取り組みとして企業に求めています。そのため、企業は事業遂行に関わる全ての部門に対して、労務コンプライアンスを強化するとともに、更なる業務生産性の向上を図る為、あらゆる業務プロセスの見直しを迫られています。紙の取り扱いが多い経理部門にいたっては、これまで以上のペーパーレス化を推進することで、支店間との紙の輸送や、倉庫に保管するための手間や時間の削減を図ったり、電子化によるスピーディな税務調査対応や内部統制の強化などを期待し、本制度対応の検討を始めている企業が増えていると考えられます。
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スキャナ保存制度対応のポイント
要件緩和により、非常に取り組みやすくなった本制度ですが、緩和とともない、タイムスタンプや履歴管理といった真実性と可視性の確保を前提としたシステムの活用が望まれています。
クレオが開発・販売を手掛ける会計パッケージ「ZeeM(ジーム)」は、経費精算ワークフローにタイムスタンプ自動押印や文書管理(履歴管理・検索・照会)の機能と検証機能を追加することで、電子帳簿保存法(スキャナ保存制度)がシステム要件として求めている「真実性の確保」「可視性の確保」に対応しておりますので、紙から電子化への運用変更をスムーズに実現します。
スキャナ保存制度への対応を本格的にご検討される際には、是非、ZeeM 会計もご検討いただければ幸いです。
ZeeM 会計の対応については、こちら から
過去の関連情報については、こちら
【ナレッジセンター】電子帳簿保存法 ~大手・中堅企業の取り組みを調査~
※2016年7月~8月にかけて実施した、電子帳簿保存法に対する市場調査レポート