「1.障がい者雇用促進法改正のポイント」「2.雇用促進税制の期間延長と変更点」「3.熊本地震に係る緊急雇用・労働対策」

2016年6月8日
1.障がい者雇用促進法改正のポイント

平成28年4月より、改正障がい者雇用促進法が施行されました。

☆ポイント1☆
雇用の分野での障がい者差別を禁止
募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる面で、障がいの差別的取扱いが禁止されます。

◇禁止される差別

  • 単に「障がい者だから」という理由で、求人への応募を認めない
  • 業務上必要でない条件を付けて、障がい者を排除すること
  • 例:研修を受けさせない、低賃金を設定する、昇給をさせない など

    ◇禁止される差別に該当しない場合

  • 積極的な差別是正措置として、障がい者を有利に取り扱うこと(障がい者専用求人など)
  • 合理的配慮に応じた措置をとり、その結果障がい者でない人と異なる取り扱いをすること
  • 例:研修内容を理解できるよう、障がい者のみ独自メニューの研修を行う など

    ☆ポイント2☆
    合理的配慮の提供義務
    障がい者が職場で働くにあたって、支障を改善するための措置が、事業主に義務付けられることとなりました。

    ◇合理的配慮の例

    【募集・ 採用時】
  • 視覚障がいを持つ方に対し、 視覚障がいを持つ方に対し、点字・音声で面接を行うこと
  • 視覚・言語障がいがある方に対し、筆談などで面接を行うこと

  • 【採用後】
  • 車いすを利用する方に合わせて、机や作業台の高さを調整する
  • 知的障がいを持つ方に合わせて、口頭だけでなく分かりやすい文書・絵図を用いて説明する
  • 精神障がいがある方などに対し、出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮する
  • 上記の措置は、事業主に過重な負担にならない程度で提供することが求められます。
    具体的にどのような措置を取るかについては、障がい者と事業主でよく話し合い決定する必要があります。

    ☆ポイント3☆
    相談体制の整備、苦情処理、紛争解決の援助
    事業主は、障がい者からの相談に適切に対応するために必要な体制の整備が求められます。また、事業主は障がい者からの苦情を自主的に解決することが努力義務とされています。

    2.雇用促進税制の期間延長と変更点

    平成28年3月31日に終了予定とされていた、雇用促進税制の適用期限が2年間延長されることになりました。
    ただし、期間の延長に伴い、要件が追加されておりますので注意が必要です。

    【要件追加・変更点】

  • 同意雇用開発促進地域(※1)に所在する事業所での雇用であること
  • 無期雇用かつフルタイムの雇用であること
  • (※1)については、以下に該当地域がございますのでご参照ください。
    詳しくはこちら↓
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/pdf/chiiki-koyou_02a.pdf

    ◆雇用促進税制とは
    前事業年度より従業員を一定以上増やす(雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ雇用者増加割合10%以上増加させる)等の要件を満たした事業主が、法人税(または所得税)の税額控除の適用が受けられる制度です。
    雇用者数の増加1人あたり40万円の税額控除が受けられます。

    3.熊本地震に係る緊急雇用・労働対策

    熊本地震に係る緊急雇用・労働対策等が各行政 機関により決定されました。対策内容の一部をご紹介します。

    ◆被災地における雇用を維持・確保しようとする企業への支援(雇用調整助成金の要件緩和)
    雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活 動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇 用調整(休業、教育訓練等)を実施する際に、従業員を解雇等することなく雇用を維持した場合に申請することができる助成金です。
    こちらの助成金は、東日本大震災の際にも震災に伴う特例として活用が進んでいましたが、今回の熊本地震においても利用ができる旨の決定がなされました。
    支給要件についてはこちら↓
    http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000122507.html

    このたびの、熊本・大分を震源とする地震により亡くなられた方々に、謹んでお悔みを申し上げます。被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げますとともに、皆様の安全と一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。





    執筆陣紹介

    SATO社会保険労務士法人
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