高年齢者雇用確保措置の状況
2025年3月に経過措置終了

2025年2月26日
高年齢者雇用確保措置の状況 2025年3月に経過措置終了

【5分で納得コラム】今回のテーマは「高年齢者雇用確保措置の状況2025年3月に経過措置終了」です。

高年齢者雇用確保措置の状況 2025年3月に経過措置終了

1. 高年齢者雇用確保措置の状況

高年齢者雇用安定法では、65歳未満の定年の定めをしている事業主に対して、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、65歳までの定年の引上げ、65歳までの継続雇用制度の導入又は定年の廃止のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講ずることを義務づけています。

令和6年の「高年齢者雇用状況等報告」(厚生労働省)によれば、高年齢者雇用確保措置に対応している企業は99. 99%となっており、その内訳は以下のグラフのとおり、継続雇用制度を導入している割合が最も多く、301人以上の企業で8割弱、21~300人の企業で3分の2程度になっています。

継続雇用制度は、本人の希望により65歳まで継続雇用する仕組みになりますが、2013年3月31日までに継続雇用制度の対象者を限定する基準を定める労使協定を締結している場合は、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定することが認められています。
この経過措置の適用状況は、先の報告によれば以下のグラフのとおりとなっており、継続雇用制度を導入している企業に占める割合は、301人以上の企業で3割弱、21人~300人の企業で1割強となっています。

2. 2025年3月に経過措置終了

継続雇用制度に設けられていた前述の経過措置ですが、2025年3月31日をもって終了します。
よって、今後は、継続雇用制度を導入しているすべての企業において、本人の希望により、65歳まで継続雇用する対応が必要になります。
なお、現在でも解雇又は退職(年齢に係るものを除く。)の事由に該当する場合は、本人が希望した場合でも継続雇用しない取扱いができますが、2025年4月1日以降も同様の取扱いが可能です。

3. 70歳までの就業確保措置

少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、2021年4月1日からは、雇用する高年齢者の70歳までの就業を確保する措置(高年齢者就業確保措置)を講ずることが “努力義務” となっています。 高年齢者就業確保措置の具体的内容は、以下のとおりです。なお、65歳までは「雇用確保措置」でしたが、65歳以上70歳までは「就業確保措置」となっており、雇用以外の選択肢も含む内容になっています。

〇70歳までの定年の引き上げ
〇70歳までの継続雇用制度の導入
〇定年の廃止
〇70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
〇70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 ・事業主が自ら実施する社会貢献事業
 ・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

高年齢者就業確保措置に対応している企業は、先の報告によれば、301人以上の企業で4分の1程度、21人以上300人以下の企業で3割強となっています。また、その内訳は以下のグラフのとおりで、高年齢者就業確保措置に対応している企業のうち継続雇用制度を導入して割合は、301人以上の企業で9割超、21人以上300人以下の企業で8割弱になっています。

法律の要請もあって、定年退職後も働き続けることが一般的になっている中で、定年の位置づけについて改めて整理しておくべきでしょう。

執筆陣紹介

岩楯めぐみ(特定社会保険労務士)

食品メーカーを退職後、監査法人・会計系コンサルティンググループで10年以上人事労務コンサルティングの実施を経て、社会保険労務士事務所岩楯人事労務コンサルティングを開設。株式上場のための労務整備支援、組織再編における人事労務整備支援、労務調査、労務改善支援、就業規則作成支援、労務アドバイザリー等の人事労務全般の支援を行う。執筆は「テレワーク・フリーランスの労務・業務管理Q&A」 (共著/民事法研究会/2022)、「実務Q&Aシリーズ 退職・再雇用・定年延長(共著/労務行政研究所/2021)、「判例解釈でひもとく働き方改革関連法と企業対応策」(共著/清文社/2021) など。

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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。

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