企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の概要(リースの貸手の会計処理)
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【5分で納得コラム】
今回は「企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の概要(リースの貸手の会計処理)」について解説します。内容
企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の概要(リースの貸手の会計処理)
1. はじめに
企業会計基準委員会(ASBJ)は、2024年9月13日、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」並びにこれらに関連する諸会計基準等(以下、「本会計基準等」とする。)の一連の改正を公表しました。
前回のリースの借手側の会計処理に引き続き、今回は、貸手の会計処理の概要、基本的な会計処理およびオペレーティング・リースの会計処理をご紹介します。
2. リースの貸手の会計処理の概要
本会計基準等では、貸手の会計処理について、以下の点を除き、基本的に、現行の会計基準の定めを踏襲しており、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの概念が残っています。
(イ) 収益認識会計基準との整合性
(ロ) リースの定義およびリースの識別そのため、上記に関連した影響はありますが、借手における影響と比較すると、貸手における影響は限定的です。
なお、リースの定義およびリースの識別については、借手と貸手ともに、IFRS第16号の定めと整合的なものとされています。
3. リースの貸手の基本的な会計処理
(1)現行の会計処理
現行の企業会計基準適用指針第16号では、ファイナンス・リース取引の会計処理について、次の3つの方法を定めています。
(A) リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法(第1法)
(B) リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法(第2法)
(C) 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法(第3法)(2)本会計基準等の会計処理
本会計基準等では、収益認識会計基準において対価の受取時にその受取額で収益を計上することが認められなくなったことを契機として、リースに関する収益の計上方法を見直した結果、第2法を廃止しています。
本会計基準等では、収益認識会計基準との整合性を考慮して、貸手は取引実態に応じて、下表のいずれかの会計処理を行います。
事業の一環で行うリース 事業の一環以外で行うリース 製造又は販売を事業とする貸手 製造又は販売以外を事業とする貸手 所有権移転外
ファイナンス・リース・リース開始日に、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額で売上高を計上し、同額でリース投資資産を計上する。また、原資産の帳簿価額により売上原価を計上する。原資産を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合、当該付随費用を売上原価に含める(※1)
・各期に受け取る貸手のリース料(以下「受取リース料」という。)を利息相当額とリース投資資産の元本回収とに区分し、前者を各期の損益として処理し、後者をリース投資資産の元本回収額として会計処理を行う・ リース開始日に、原資産の現金購入価額(原資産を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合は、これを含める。)により、リース投資資産を計上する
・受取リース料の会計処理は、左記と同様とする・ リース開始日に、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額と原資産の帳簿価額との差額を売却損益として計上し、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額でリース投資資産を計上する。原資産を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合、当該付随費用を含めて売却損益に計上する(※2)
・受取リース料の会計処理は、左記と同様とする所有権移転
ファイナンス・リース所有権移転外ファイナンス・リースの場合と同様(とする(この場合、「リース投資資産」を「リース債権」と読み替える。)。また、割安購入選択権がある場合、当該割安購入選択権の行使価額を貸手のリース料及び受取リース料に含める (※1)ただし、売上高と売上原価の差額(以下「販売益相当額」という。)が貸手のリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、原資産の帳簿価額(付随費用がある場合はこれを含める。)をもって売上高及び売上原価とし、販売益相当額を利息相当額に含めて処理することができる。
(※2)ただし、当該売却損益が貸手のリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、当該売却損益を利息相当額に含めて処理することができる。
4. 利息相当額の各期への配分
本会計基準等では、 利息相当額の総額を貸手のリース期間中の各期に配分する方法は、原則として、利息法によるとされています。この場合に用いる利率は、貸手のリース料の現在価値と貸手のリース期間終了時に見積られる残存価額で残価保証額以外の額の現在価値の合計額が、当該原資産の現金購入価額又は借手に対する現金販売価額と等しくなるような利率を用います。
一方、リースを主たる事業としていない企業による所有権移転外ファイナンス・リースに重要性が乏しいと認められる場合、利息相当額の総額を貸手のリース期間中の各期に定額で配分することができるとされています。なお、「貸手としてのリースに重要性が乏しいと認められる場合」とは、未経過の貸手のリース料及び見積残存価額の合計額の期末残高が当該期末残高及び営業債権の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合をいいます。
5. オペレーティング・リースの会計処理
現行の企業会計基準第13号では、オペレーティング・リース取引は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことのみを定めていました。
一方、本会計基準等では、収益認識会計基準との整合性も考慮し、フリーレント(契約開始当初数か月間賃料が無償となる契約条項)やレントホリデー(例えば、数年間賃貸借契約を継続する場合に一定期間賃料が無償となる契約条項)に関する会計処理は、貸手のリース期間にわたり原則として定額法で計上することとしています。
ただし、貸手が貸手のリース期間について、「借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間(事実上解約不能と認められる期間を含む。)にリースが置かれている状況からみて借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えて決定する方法」を適用して決定する場合、当該貸手のリース期間に無償賃貸期間が含まれるときは、貸手は、契約期間における使用料の総額(ただし、将来の業績等により変動する使用料を除く。)について契約期間にわたり計上することとされました。
ASBJ 企業会計基準委員会
・企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表
https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0913.html
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※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。