【シリーズ連載】経理のプロが会計システムを選ぶときの思考回路とは?
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経理のプロが選ぶ会計システムはなにが凄い?
第2回「経理のプロが会計システムを選ぶときの思考回路とは?」多くの企業の経営改善を行ってきた、バックオフィスや管理部門の実務のプロ集団「株式会社RSTANDARD」。その代表の清水氏が、様々な会計システムを使ってきた中で、「使える会計システム」の条件をシリーズで語るコラム企画。
格安なシステムは本当に安いのか?
・・・そんなことはない!経理に携わる人々は、何を基準にして会計システムを選ぶのだろうか。会計システムの基本的な機能は大きく違わないが、「機能」・「使いやすさ」・「自社業務との親和性」・「価格」など様々な比較要素が存在する。近年、激変の経営環境のなか、新事業の推進・多角化戦略の推進・M&Aの推進など、経営の態様は目まぐるしく変化しており、こうした状況に対応できる会計システムを知っておくことに損は無い。
月額数千円の会計システムのシェアが拡大している。それは中小企業だけでなく、中堅規模の企業でも例外ではない。また、大手企業からも注目を集め始めている。何故だろうか。
当然、「安い」からである。高価な会計システムに比べ機能が劣っていても、「安い」ため支持されることがある。ただし、筆者は「格安な会計システム」は本当に安いのか?という疑問を持っている。何故なら、会計システムは、会計情報の収集・入力・加工・経営情報の作成を行うものであるため、これら一連の人的・物的トータルコストで見た場合、本当に軽減されているとは、甚だ言い難いからである。
ある会社では、格安な会計システムを使って処理を行っているものの、経理人員は増加の一途であったり、月次レポートを力業で作成していたり、決算作業も多大な時間を要していたり、という状況を良く見かける。なぜ、このようなことがおこるのだろうか。会計システムは、本来どうあるべきか?
そもそも、会計システムは、本来どうあるべきか?この問いに、経理実務に長年携わってきた筆者が重要と思われる順に「会計システムのあるべき姿」を述べたいと思う。
[1]企業が望む会計処理の「全て」ができること
期待する会計処理の「全て」ができなければ、その会計システムを使う意味は無いだろう。効率化を図る目的で会計システムを導入しているにも関わらず、一部の作業は手作業に頼らざるを得ないという、本末転倒なことはあってはならない。
[2]「効率的」に処理できること
期待する会計処理の全てを「効率的」に運用することが重要である。複雑で手間のかかる処理は、正しく運用されなくなる可能性があるので、たとえ処理量が増えたとしても、作業時間を増やさず、常に正しく運用できる仕組みでなければならない。それが「効率的」に処理をするということだからだ。
[3]「使いやすい」こと
UI(User Interface)がユーザー視点で設計されていること。効率的というだけでなく、使い勝手が良いか、日々の業務をストレスなく処理できるかどうかが、長く使えるシステム、つまり「使いやすい」システムだと言える。
[4]価格が「安い」こと
価格が安いに越したことはない。但し、業務システムの場合は、それをオペレーションするための人件費などを含めたトータルコストで判断しないと、後で割高だったと気づくことになる。トータルコストで「安い」と言えることが重要だ。
格安な会計システムを選択して、システム導入を失敗しているケースでは、[4]の「安い」を重視して[3]→[2]→[1]と判断していることが多く見受けられる。[1]の「企業が望む会計処理が全てできる」の一部が欠落して、手作業の発生・作業時間増大・人件費コスト増大を招く可能性が高い企業は多い。良い会計システムを選びたいなら、先ず[1]の「企業が望む会計処理が全てできる」を重視し、次に[2]→[3]→[4]の順で検討してほしい。
「玄人志向」の会計システム
「企業が望む会計処理が全てできること」が、ほぼパーフェクトで「効率的」・「使いやすさ」を兼ね備えている会計システムがある。それがZeeM 会計だ。ZeeM 会計は、よく玄人志向といわれる。その理由は、設定すれば何でもできるからである。細かい設定をすればするほど、自分の思い通りに処理することができる。ただし、この細かい設定をするには、それなりに会計知識が必要となる。ここが玄人志向といわれる由縁だろう。
筆者としては、会計業務の効率運用を強く望むのであれば、当然ながら会計知識をベースにシステムを知り尽くすことは避けられないと考えている。そこで、玄人志向のZeeM会計を使うべきだと言いたくなるのである。では、実際にZeeM 会計の機能について特徴的な部分を抜粋して見てみよう。
機能 特徴 パターン入力 定型的な仕訳を登録して、効率よく入力することが可能。半自動で登録も可能。 外部取込 周辺システムのデータレイアウトに左右されず取込が可能なのが特徴。 外部データをスケジュールで取り込むことも可能。 配賦処理 他の会計システムより多彩な配賦基準を搭載しており、科目・補助・セグメントで配賦処理が可能。配賦前と配賦後の帳票出力が可能。付替科目で処理ができるのも特徴。 資金管理 資金の計画予定実績を日別/部門別/銀行口座別に管理することが可能。複合仕訳での資金按分計算、資金取引内容へのドリルダウンが可能。 キャッシュフロー 直接法間接法に対応。毎月、月次処理に連動して開示用CFが自動的に作成される。キャッシュフロー仕訳も独立して作成が可能。 会社合算 マルチカンパニー対応として、合算機能を搭載。各マスタコードのマッピング機能により、コードが違っていても集計する事が可能。 経営帳票 市販のデータウェアハウス並みのBI機能を標準提供。容易な設定で最新の情報をExcel展開が可能。アウトプットでは、最強ツール。 これらの機能は、ZeeM 会計の細かな機能のほんの一部であり、日常の処理の中で当たり前のように利用する機能である。ただし、実は安価な会計システムの場合、この辺の機能が不足していることがある。いいかえれば、これらの機能に相当する作業は、手作業の対応を求められるということである。あえて細かい例をあげたが、この手の機能を漏らさず、装備しているというところが、玄人志向の優位性なのだろう。
経理のプロが会計システムを選ぶときの思考回路とは?
経理のプロは、どのような思考で会計システムを選定しているのか?
それは「瞬時に」、「正確に」、「経営の期待する資料」を出せるかである。そして、「トータルコスト」を意識しながら、日常の会計処理・月次決算・月次チェック・年次決算・年次チェック・税務用集計・開示用集計・増減分析・業績資料・KPI分析など、あらゆる作業を効率的にできるか否かを判断している。
なぜならば、効率的にできることで、人員削減が可能になる。または、成長企業なら人員を増やさずに膨大な処理に対応できるようにする必要があるからだ。
つまり、経理のプロは、常に生産性が向上するかを考え、会計システムを選定しているのだ。おわりに
会計システムは、経営戦略に欠かせない経営情報が蓄積されている。しかしながら、この有用な経営情報を効果的に活用できている企業は少ないのではないだろうか。貸借対照表や損益計算書だけで、戦略経営はできない。
だからこそ、良い会計システムを利用し、他社より質の高い経理部にすることで、企業間競争に勝ち抜くための一翼を担ってほしいのである。
著者プロフィール
- 清水 武洋 株式会社RSTANDARD 代表取締役
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株式会社RSTANDARD(アールスタンダード)・会社概要
スタートアップ企業から一部上場企業まで幅広く経理業務のアウトソーシング・経理のコンサルティング業務を中心に事業を展開。クライアント先で業務代行を行うだけでなく、低コストかつ最短で高度化した経理部門となるための方策を提案、変革するための支援も行うなど、専門コンサルティング領域にも力を入れている。
クライアントの成長に寄与することを使命として、スローガンである「Re-make The Standard(新たな付加価値を標準化に)」を掲げている。
※本コラムに記載された内容は執筆者個人の見解であり、株式会社クレオの公式見解を示すものではありません。